第12話

10話
99
2020/03/11 09:00
mob
高1ん時から…好きでした!!
俺と、付き合ってください!!
…凄く、ベタな告白だな。
あぁ違う違う、そうじゃないよ。


返事だよ。
まぁ決まってるけど。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
ごめん。貴方のことを知らないし、
恋愛とか…興味ないから。
いや、事実でしょ。


去年や、今年、同じクラスでもない。


ましてや話した覚えの無いこの人に。


はい、いいですよーなんて言えるか。
mob
ひっ、ひどいっ…本気です…
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
貴方が本気かだなんて、
知ったこっちゃないです。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
ごめん、って言ったの。
男なら潔く退いてくれない?
mob
…っ…うっ、くっそぉぉぉっ!!
あ、逃げた。


ダサいなぁ。


言い返せなくて悔しいから逃げる。


やっぱカッコ悪。


少しでも期待した私を返してほしいわ。
まぁ逃げるのはまだ良い方だよね。


恨まれたりして殴りかかられたり、


諦めきれないとか言われるよりずっとマシ。
肩の力を抜くと同時に、偽る笑顔も消え失せた。


どうせここは旧校舎。


部活の人も体育館に籠ってるし、


誰にも見られないからね。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
……はぁ…
てか、アイツろくな奴じゃ無くないか?


サッと告ってフラれていなくなる。


罰ゲーム的なのだったのかな。


あ、それだと余計腹立つな。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
あー……リュック教室じゃん…
下駄箱に戻ったところで気が付いた。


荷物教室に置いてきたままだったわ。


まぁ今日は特に何もないし。


強いて言うなら?知らない奴から告白された位で…
戸関 涼
戸関 涼
あーっ!彩夏ちゃーん!奇遇だねー!
…もう1つ増えたっぽい。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
とっくに放課後なのに、
何でここに居んの。
うちの教室から丁度出てきた感じだった。


私は顔をしかめるのを堪えてんのに、


あっちは満面の笑みでこっちを見てくる。
戸関 涼
戸関 涼
うーん!何か女の子に付きまとわれて!「デートしよー」とか!
戸関 涼
戸関 涼
彼女じゃないのに~
めんどくさいよね~って!
戸関 涼
戸関 涼
どこへ行こうとしていらっしゃる!?
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
え、帰るんです。
戸関 涼
戸関 涼
聞いてきたの彩夏ちゃんだし酷くない!?少し位聞いて!!
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
なんで私がお前のノロケ話聞かなきゃなんないの。聞くなんて言ってない。
戸関 涼
戸関 涼
ごもっとも!!じゃなくて!
戸関 涼
戸関 涼
彩夏ちゃんこそどーしたの?
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
…関係ないよ。
戸関 涼
戸関 涼
あっ!朝とデジャヴ!!
言えるか、告白されてましたなんて。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
じゃーね。
戸関 涼
戸関 涼
えちょちょ待った!!
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
くどい。
戸関 涼
戸関 涼
も、もしかして告白とかじゃない…
よね!?
考えたふりとか、青ざめたり、納得したり、


百面相した後にそう問われるけど。


何、当て付けか、当たってるけど腹立つわ。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
何、私が可愛くないから確認ですか?えぇ?当て付けか?
顔が良くない当て付けか?あ?
戸関 涼
戸関 涼
ち、違う!!
てか彩夏ちゃんは可愛いよ!
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
……は?
思わず逃げようとした足を止めてしまった。


人間の不可抗力だろ、こんなの。
戸関 涼
戸関 涼
えぇ!!あ、いやそうだよね…
自覚無いよね…うん…
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
あぁぁ、危な。
これもチャラ男のスキルか…。
戸関 涼
戸関 涼
違うって!彩夏ちゃんは!ほんとに!
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
と、とにかく!帰る!
今日、オフなの!邪魔すんな!
駄目だ、これ以上ここにいるとツッコミすぎて疲れる…
戸関 涼
戸関 涼
俺も帰るんだけど…
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
…何門から出る?
まさか帰る門同じで方向も同じなんてキセキあるわけ…
戸関 涼
戸関 涼
北。そして右に曲がります。
こんなにフラグ回収早いことある?


勘弁してください。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
……はぁぁぁ。
戸関 涼
戸関 涼
一緒だよね!!帰ろ!!
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
付いてくんな気持ち悪い!!
戸関 涼
戸関 涼
いや道おんなじだって!!
ニコニコで付いてくるアイツを引き離しながら、


早歩きで学校の外へ向かった。

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