第5話

3話
132
2020/03/07 03:00
神埼 優奈
神埼 優奈
あっ、涼クンだ!
私の親友の優奈が、少し顔を赤くして言う。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
…涼って、戸関?
神埼 優奈
神埼 優奈
そう!
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
チャラ男…って聞いたけど。
神埼 優奈
神埼 優奈
間違ってはいないんだけど…
でも優しいんだよ~!
優奈はそういう情報に詳しい。


そんな優奈が、悪い噂を言わないということは、


本当に何もないってことなのかな。


でも、そういう方が、いやらしい。


あんだけ笑顔と愛想振り撒いて、


馬鹿みたい。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
ふぅん、凄いね、
女の子群がってるし。
神埼 優奈
神埼 優奈
もー!言い方言い方!
神埼 優奈
神埼 優奈
彩夏も一度涼クンの笑顔を見れば分かる!あれは本物のイケメンだよ~!
顔と性格が比例するなんて現象、


起こられたらたまったもんじゃないっつの。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
顔が良くても、どうすんの、
中身どす黒い奴だったら。
戸関 涼
戸関 涼
どす黒い、だなんて。
そんなことないよ?
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
!?
神埼 優奈
神埼 優奈
きゃっ、涼クン!
肩が跳ねる程驚いた。


私と優奈の後ろから、ニコニコの笑顔で覗いていた。


声は甘く、綺麗な声だ。


顔やスタイルも、その辺のアイドルと変わりない程。


聞かれてたとは…まぁでも、


これくらいで引き下がったら、


私もその辺の女と同類だ。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
…それはそれは、失礼しました。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
何も知らない私が、知らない他人のことを口出すなんて、すみません。
驚きと不気味さで頭がいっぱいになりすぎて、


少し口が悪くなって、煽る感じになったけど、


言いたいことを言うんだ。


それでも、笑顔は絶やさない。
神埼 優奈
神埼 優奈
お、おぉ…彩夏強い…
戸関 涼
戸関 涼
真面目だなぁ!!(笑)
…………は?
戸関 涼
戸関 涼
そんな彩夏チャンと優奈チャン、
今日一緒に放課後どうですか?
神埼 優奈
神埼 優奈
え、わ、私も?
…………は?
戸関 涼
戸関 涼
勿論!
可愛い女の子は誰でもオッケー!
あぁ、ちょっと、


このタイプは。


私が、一番嫌いなタイプじゃないか。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
…結構です。
戸関 涼
戸関 涼
何で?
間髪入れずに『何で』と、笑顔で聞いてくる。


もうこれじゃあ自分でも止められないから。


言わせてもらうしかないけどさ。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
悪いけど、その〝可愛い〟って、女を馬鹿にして見下してるんでしょ。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
この言葉、あの言葉、台詞みたいに並べて、俳優でも気取ってんの?
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
誰でも釣れると思ったら、
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
大間違いだから。
吐き捨てる様に冷たく言って、


その場をすり抜けて行った。
神埼 優奈
神埼 優奈
ひぇー、またやった、彩夏(笑)
ごめんなさーい涼クーン!
戸関 涼
戸関 涼
うぅん!気にしないでー!
優奈も戸関涼に一礼して、こちらに走ってくる。






戸関 涼
戸関 涼
………彩夏ちゃん…うん、可愛い。
この言葉は、


逃げるように早歩きで行く彩夏の耳には、


届いていなかった。

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