第22話

20話
88
2020/03/21 03:00
他の先生にプリントを出して、OKを貰い、


昇降口に向かう。


待たせる、と言うのはあまり好きじゃないから、


少し早歩きになっていた。
いや、もしかしたらもう帰られてるかも。


だって、こんな私となんて、帰りたくないでしょ。


こんな地味で可愛くない私とより、


アイツの周りにいる女の子の方が、


よっぽど女子らしいし。


何より、高校生だよ?


私なんかに構う暇なんて無いって。


ほらほら、帰ってる………
戸関 涼
戸関 涼
あっ!彩夏ちゃん来た!
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
………帰ってないし。
戸関 涼
戸関 涼
え!?帰る!?なんで!?
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
………いや、何でもない。
戸関 涼
戸関 涼
えー!気になる!
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
勝手に気になってろー。
軽く受け流しながらも、


上履きから靴に履き替える。
戸関 涼
戸関 涼
あ!彩夏ちゃん。帰り送るからさ。
少しだけ、少しだけ寄り道しよ?
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
………えぇ…。
先生とか見回りは無いし、


まぁどこに行くかによるけど。


変なとこ行くくらいなら逃げ出してやろう。


まぁコイツ、一応チャラ男だからね。


カラオケなんて行ったら私帰るから。
戸関 涼
戸関 涼
良いよね!?
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
…まぁ、少しだけね。
戸関 涼
戸関 涼
よっしゃ!
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
え、そんな喜ばなくても。
戸関 涼
戸関 涼
だって嬉しいんだもん♪
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
…あっそ。
と、帰り道を歩いていた。
戸関 涼
戸関 涼
ねぇねぇ彩夏ちゃん。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
なんですか。
戸関 涼
戸関 涼
ずぅぅぅっと気になってたんだけど。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
はぁ。
戸関 涼
戸関 涼
今日何かいつもより優しくない!?
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
…………そんなことない。
戸関 涼
戸関 涼
嘘つけ!!(笑)
そしてしばらく犬の様な期待に満ちた目で、


ジーーッと見詰められ、私も流石に折れた。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
…はぁ。立来に。
戸関 涼
戸関 涼
え?
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
もう少し優しくしてやりなって、
言われた、から。
あぁぁぁ、恥ずかしい!!


言わなきゃ良かったかも!!


どうせニヤついてるんだろ…!!


と、顔を上げたら。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
…え、何、その顔。
戸関 涼
戸関 涼
……ごめん、30秒見ないで。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
無理、見せろ。おい。
戸関 涼
戸関 涼
や、ストップ、ね、やめ…
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
照れてん…の?(笑)
ヤツが自分の顔を隠すから、その手をどかしたら、


リンゴみたいに、顔も、耳まで赤くなっていた。
戸関 涼
戸関 涼
うぅ…カッコ悪いでしょー…。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
…なんだ、そんなことか。
大丈夫、いっつもカッコ悪いから。
戸関 涼
戸関 涼
えぇ!!それは酷いぞ!!
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
うん、言い過ぎたかも。(笑)
戸関 涼
戸関 涼
認めるのもなんか変な感じ!!
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
どっちだよ。
戸関 涼
戸関 涼
あ!あったあった、
来て来て彩夏ちゃん。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
うぉ、引っ張んなくても行くってば。
何かを見つけた様子で、


近所の大きな公園の中へと入っていく。
そこから見えてきたのは、
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
クレープだ…!
戸関 涼
戸関 涼
甘いもの好き?
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
うん、好きだけど…まさか、
寄り道って、これのこと?
戸関 涼
戸関 涼
そーでーす!さっき頑張ったからご褒美ってことで!
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
……え?まさか。
戸関 涼
戸関 涼
奢りまーす。
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
いやいや、悪い。
戸関 涼
戸関 涼
良いの!
俺が払いたいから、払うの!
戸関 涼
戸関 涼
ハイ!何味?
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
い、いちごホイップ…
戸関 涼
戸関 涼
りょーかーい!
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
あ、ちょ…
戸関 涼
戸関 涼
座って、待ってて!
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
う、あーもう…。
流されるままにベンチへと座ってしまう。


あーあー、店員さん頬染めちゃって。


ほんと、なんなんだよあのバカは…

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