第28話

26話
139
2020/03/26 12:04
香川 立来
香川 立来
っえ!?ご、ごめん!
何か気に障っちゃった!?
香川 立来
香川 立来
俺また無神経に…あー…
戸関 叶子
戸関 叶子
う…うぅん…ちが…うの…。
どうしてもそれを伝えたかったのか、


ひっく、と、喉の音を出しながらも伝えてくれる。


と、とにかく誰か来たら終わりだから!
香川 立来
香川 立来
え、えと、それなら一回落ち着け、
俺が何かイジめたみたいになる…!!
香川 立来
香川 立来
し、深呼吸深呼吸。
戸関 叶子
戸関 叶子
……っぅ……はぁ…。
戸関 叶子
戸関 叶子
ご、ごめんね、何だか安心した気持ちと、不安が消える気持ちが…
戸関 叶子
戸関 叶子
…??なんか語彙力が無い…ごめん…
香川 立来
香川 立来
…いーや、
戸関の為になったなら良いや。
戸関 叶子
戸関 叶子
でも、本当に嬉しいな…。
今までそんなこと言ってくれる人…
戸関 叶子
戸関 叶子
周りに居なかったから…。(笑)
辛そうに無理に笑う戸関を見て、


思わず感情移入してしまいそうになる。
香川 立来
香川 立来
でも、頑張ったことに変わりはない。
それでも続けて、続けて。
香川 立来
香川 立来
いつか見返してやる!!…位、
思ってた方が俺は格好良いと思うよ。
最初の仲良くなりかけた時みたいに、


自分を出して、


前を向く戸関がカッコ良いのは知ってるから。


すると、戸関は涙を拭いて、優しく微笑み、
戸関 叶子
戸関 叶子
……うん、少し、心が落ち着いた。
本当にありがとう、香川くん。
香川 立来
香川 立来
いーえ、でも無茶しちゃ駄目よぉ。
…んで、事情知るの俺だけでしょ?
香川 立来
香川 立来
だから疲れたり、愚痴を聞いてほしかったらいくらでも聞くし、応える。
香川 立来
香川 立来
戸関が泣いたら俺、困るし。(笑)
戸関 叶子
戸関 叶子
…うん、泣かない。
戸関 叶子
戸関 叶子
あ、あと…その、双子のことは…
香川 立来
香川 立来
言わない方が良いのね?オッケー。
香川 立来
香川 立来
あ、でもうっかり彩夏辺りに口滑らせたらごめん。
俺のことだもの、言い兼ねない。気を付けねば。
戸関 叶子
戸関 叶子
…彩夏…。
香川 立来
香川 立来
この前資料集借りに来た奴、覚えてる?
戸関 叶子
戸関 叶子
あ、う、うん。覚えてる。
戸関 叶子
戸関 叶子
彩夏…さん、とは…仲良いんだね。
香川 立来
香川 立来
まぁねぇ!付き合い長いし(笑)
戸関 叶子
戸関 叶子
そっ…か。
香川 立来
香川 立来
あ、戸関、涼クンと仲良くね。
無理にとは言わないけれど、
香川 立来
香川 立来
この前謝ってるの見たとき、さっきの戸関と同じ位、辛そうだったから。
戸関 叶子
戸関 叶子
…涼…が…?
あの時の涼クンの顔は、何つーか、


見ててこっちも辛くなるっていうか。


彼自身もどうしたらいいのか分からないんだろう。
香川 立来
香川 立来
うん、まぁ確かに…あ、俺は一人っ子だけど、彩夏は弟居てさ。
香川 立来
香川 立来
言ってたけど、本当に優しいキョウダイなら、嫌われると凄く辛いって。
香川 立来
香川 立来
多分、涼クンだって、
悩みとか…あると思うよ。
香川 立来
香川 立来
戸関も、自分のことで手一杯で、
考えてこなかったと思うけど。
香川 立来
香川 立来
今少し肩の荷が下りたなら、
たまには声、掛けてあげてみたら?
香川 立来
香川 立来
…なーんて!俺が言うの凄い上から目線!ごめんなぁ!!
自分で言ったは良いものの!!


何か恥ずいし、失礼だねぇ!!
戸関 叶子
戸関 叶子
う、うぅん、その通りだと思う…。
…少しだけ、嫌でも話してみる。
戸関 叶子
戸関 叶子
何から何まで本当に感謝だよ…。
香川 立来
香川 立来
そんな大袈裟な!(笑)
香川 立来
香川 立来
俺は戸関が辛くなければそれで良し!
だし、
香川 立来
香川 立来
戸関が辛くて泣かなければそれで良し!…だからね?
これ以上、戸関が傷付くと、こっちも辛いし。


可哀想、では済まなくなってしまうから。





それなのに、彼女から返ってきた、


言葉は。



戸関 叶子
戸関 叶子
……香川くん………好きです。
香川 立来
香川 立来
…………え……?
その言葉を頭に詰める前に、


チャイムは鳴って、教室に皆は入ってきた。

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