第2話

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2022/12/04 09:11
こんな生活を長く続けられたらいいなと思い、今日も図書館に向かう。1週間通い続けて決めた席に今日も荷物を置いて本を選びに向かう。
どの本にしようかと本棚を見回し、面白そうなタイトルの書かれた背表紙を見つけそれに手をかけると人にぶつかった。
あなた
あ、すみません
咄嗟に出たのはそれで、相手もそう言っている。
でもそれだけでは終わらなかった。
男性
あの、ちょっとお話いいですか?
初対面の男性にそんなことを言われたことがなかった私はへ?っと変な声が出た。その男性は自分でもおかしなことを言っている自覚はあるようで顔を真っ赤にしてすみませんを連呼している。
あなた
ここ以外なら、全然大丈夫ですけど
男性はそれを聞いて安心したようで、ありがとうございますと私に礼をしてじゃあ行きましょうと私のことをエスコートしてくれた。そして私の冷たく凍えていた心に一つの蝋燭が立てられたように温かくなった。
 席の荷物を持ってその男性について行くこと10分、メジャーな喫茶店ではなく、個人経営のいわゆる純喫茶についた。
男性
ここならいいですか?
はいと私は答えた。
ここのドアを開けるとカランコロンとベルが鳴り、カウンターからは初老のマスターがお辞儀をした。
男性
好きなもの、頼んでください
そう言われて渡されたメニュー表は趣があって素敵だった。初めてあの図書館に行った時のように興奮してきて自分が世界の主人公なのではないかと錯覚してしまいそうだった。
メニュー表を一覧してみて気になったのはケーキとお茶のセットだった。
男性
決まりました?
あなた
はい
あなた
このケーキのセットで
私はお水を持ってきたマスターに注文内容を伝えた。向かいの男性はコーヒーとサンドイッチを頼んだ。
男性
まず俺の素性明かしますね
男性
急に連れてきてしまってすみません
さっきまでのクールな印象とは違って柔らかく優しいオーラに変わった。
そしてすみませんと机に頭をぶつけるくらいの勢いで頭を下げている。
あなた
そんな、大丈夫です
思わず私はそう言った。
俺はいぬい晃樹こうきっていう名前で、東京大学の3年です
私は反射というか、なんというかでお辞儀をした
私も名乗らなければという思いに駆られて同じく自己紹介をする

息をすっと吸い込んだ。
あなた
えっと
あなた
橘花たちばなあなたの下の名前です。
16です。
高2と考えていただければ良いです。
お互いに自己紹介をした後はしんと静まった空間になった。そこにマスターが私たちの頼んだものを持ってきてくれた。その後マスターは厨房の方に引っ込んでいき、ホールには私と乾さんしかいない状況になった。
目の前に美味しそうな食べ物がある状況でお腹が空いているのを思い出し、食べることにした。
あなた
あの、つかぬことを伺いますがどうして私のことをここに連れてきたんですか?
気になっていたことを質問する。

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