第6話

番外編 電車の中の話
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2022/12/11 12:44
あなた
で、話ってなんですか?
東京にしては空いている車内で聞く。周りの人はイヤホンかヘッドホンをしている。もしくは眠っているようだ。
ああ、話ね
秘密基地で話すかのようなテンションで乾さんは続ける。
これから行くのはQuiz Knockのオフィス。俺たちYouTubeやってるんだけど聞いたことある?ほら伊沢さんとか
あなた
もしかしてあの…ですか?
多分それ
それを聞いた瞬間私の中で相当な勢いで電気回路が繋がって、衝撃を受けたように忘れていたものを思い出した。
そして、乾さんの話そっちのけで上の空になってしまったようだった。
中学3年。大体2年前の話。今思えばあいつにいじめられていたんだと思う。
思い出さないようにしていたのにその名前を聞いた瞬間思い出した。でも嫌悪感は抱くことなく、復讐に利用してみようとさえ失礼だが思ってしまった。
当時あいつはぶりっ子で誰だったかは正直覚えていないが
ぶりっ子ちゃん
××くん。めっちゃかっこいいぃ♡
を連呼していたような記憶がある。でもそれはあいつの表向きの顔。私に向けるものは正反対と言っていいほどどす黒いものだった。
ぶりっ子ちゃん
おい橘花、邪魔
これを何度かけられたことか。今となっては悪い思い出だけど、当時は本当に病んだ。そしてその次に続く言葉で私は毎回遺書をしっかり残して死んでやろうと思っていた。
ぶりっ子ちゃん
邪魔者はさっさと死ねってw
それを取り巻きと言うもんだから当時は地獄以上の地獄を見ていた。
大丈夫?あなたの下の名前ちゃん
乾さんに声をかけられて正気を戻した。そんなに顔色が悪かったかなと不思議に思いつつも大丈夫ですと返す。
じゃあ、続けるね
そのオフィスは、なんて言うんだろ寮っていうかシェアハウスにもなっていて今日は泊まって行きなよ。メンバーもみんないいよって言ってるから。流石に女の子1人ではいさせられないよ
思っても見ないことだった。私は最近で1番目を見開いていたと思う。
あなた
いいんですか?
もちろん
あなた
じゃあお言葉に甘えて
私がそういうとそのオフィスの最寄駅に着いたようで、乾さんについて電車を降りた。
持つよ
と手をさしのべてもらったけど、泊まらせてくれるのにここまで手を煩わせたくなかったから、大丈夫ですと自分で持って電車を降りた。

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