第28話

姉妹校交流会・2
3,469
2021/10/26 11:10
★前回のあらすじ
遂に交流会当日。野薔薇ちゃんの盛大な勘違い等はありましたが、如何やら京都高専の生徒達がやってきた様です…。
禪院真希
禪院真希
おい、来たぜ
そう言い放った真希に応える様に、京都校の生徒達が現れた。
禪院真依
禪院真依
あら、お出迎え?気色悪い
そんな台詞を言った女子生徒は、何処となく真希と雰囲気が似ている。此の人が恵や野薔薇が話していた、真希さんの双子の妹かな、と、鏡花は思った。
鏡花
鏡花
(ただ、真希さんと違う性格…言葉から意地悪そうな感じがする…)
多分、此の人とは仲良くなりづらいだろうな…と、少しだけ苦手意識をもった。
其の直ぐ傍に居る、筋肉質で大きな身体の男子生徒が、「乙骨居ねぇじゃん」とぼやいた。
他にも、着物を着たお坊さんの様な身なりの男子や、箒をもった魔女風の女子、ロボット…?
東京校もそうだが、中々に濃い面子である。
そんな中。
鏡花
鏡花
…あ
見覚えのある水色の長髪を見つけ、鏡花は嬉しくなった。
鏡花
鏡花
(…霞さんだ…!)
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
うるせぇ、早く菓子折り出せコラ、八ツ橋 くずきり そばぼうろ
狗巻棘
狗巻棘
しゃけ
東堂葵
東堂葵
腹減ってんのか?
野薔薇がイライラした様子を全開にして、菓子折りを要求する。其れに棘も乗っかってしまい、鏡花は大柄な先輩…東堂に心の中で同調した。
西宮桃
西宮桃
怖…
ぎゅっ、と箒の柄を握り締める金髪の魔女…西宮は、恐る恐るといった体で、野薔薇たちを見やる。
メカ丸
メカ丸
乙骨が居ないのは良いとしテ、一年生三人はハンデが過ぎないカ?
ロボット…メカ丸が此方を向いてそう言う。
「ロボだ、ロボが居る!!」と野薔薇が騒ぐが、めちゃくちゃ共感した。
加茂憲紀
加茂憲紀
呪術師に歳は関係ないよ。特に伏黒君、彼は禪院家の血筋だが、宗家より余程出来が良い
禪院真依
禪院真依
チッ
僧侶風の格好をした生徒…加茂の吐いた言葉に、真依は小さく舌打ちをする。
加茂憲紀
加茂憲紀
何か?
禪院真依
禪院真依
別に
舌打ちに気付いた加茂に、素っ気なく返事をする真依。
霞が「まあまあ」と間に入って止めるが、正に一触即発の雰囲気。
鏡花が気まずくなり始めた其の時。
庵歌姫
庵歌姫
はーい、内輪で喧嘩しない
凛とした声が響き、京都校の引率、庵歌姫が古びた石階段を上って来た。
庵歌姫
庵歌姫
全く此の子らは…で、あの馬鹿は?
呆れた様に溜め息を吐いた後聞かれた言葉が、誰の事を指してるか嫌でも分かった。
鏡花
鏡花
(…絶対五条先生だ)
パンダ
パンダ
悟は遅刻だ
禪院真希
禪院真希
バカが時間通りに来る訳ねーだろ
伏黒恵
伏黒恵
誰もバカが五条先生のこととは言ってませんよ
真希に関しては、もう隠す事なく「バカ」と言ってしまっている。其れに冷静に突っ込む恵。
現代最強の特級術師は、生徒公認のバカと化した。
…其の時。






ドドドドドド
…何か来た。
良く言えばマイペース、悪く言えば自分勝手な統一感のない、其の場に居る全員の心の声が、初めて一致した瞬間だった。
五条悟
五条悟
おまたー!!
先程ブイブイ言わせていたバカ、五条悟が何やらキャスター付きの大きな白い箱をとてつもない勢いで転がしながら迫って来た。
パンダや野薔薇、棘は巻き込まれそうになって慌てて避ける。
庵歌姫
庵歌姫
五条悟!!
三輪霞
三輪霞
(五条悟!!)
片やチッと舌打ちをし乍ら睨み付ける歌姫、片やパッと顔を輝かせる霞、思っている事は同じなのに、此れ程迄に違いが出る事を、鏡花は初めて目にした。
鏡花
鏡花
(…こうやって見ると、五条先生の事が、益々太宰さんに見えて来る…)
五条悟
五条悟
やあやあ皆さんお揃いで。私、出張で海外に行ってましてね
ガラガラガラ…と箱を押しながら此方に向かって来る五条。パンダも「急に語り始めたぞ」と若干引き気味だ。
「はい、お土産」と、五条は何とも形容し難い表情をした人形を取り出し、京都校の生徒に配っていく。
五条悟
五条悟
京都の皆にはとある部族のお守りを。歌姫のは無いよ
庵歌姫
庵歌姫
いらねぇよ!!
五条の言葉に、怒った口調で応える歌姫。
何だかんだ言って、親しい間柄なのかもしれない。尚、仲良くはなさそうである。
五条悟
五条悟
そして東京都の皆にはコチラ!!
ぐりんっという効果音が聞こえて来そうな位に方向転換する。隣から野薔薇の呆れた声が聞こえてきた。
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
ハイテンションな大人って不気味ね、鏡花
鏡花
鏡花
うん
…鏡花も同調した。
生徒皆に白い目で見られ乍も、五条のテンションは変わらない。









…ゾワッ
鏡花
鏡花
ッ!!
魔都・ヨコハマの裏社会で、嫌でも身に付けられた鏡花の気配を読む能力はホンモノだ。
特級術師である五条が、此の気配を感じ取れない筈が無いのに。


五条の傍の白い箱から、確かに気配がした。
…微かだが、おどろおどろしい気配も。

無意識に、何時も首から下げている携帯電話に手を掛ける。そんな鏡花を、恵は不思議そうに見つめた。
伏黒恵
伏黒恵
…如何かしたのか、鏡花
鏡花
鏡花
!…何でもない



バゴッ








とてつも無く大きな音がして、箱が内側から開いて。
五条悟
五条悟
故人の虎杖悠仁君でぇーっす!!
虎杖悠仁
虎杖悠仁
はい!!おっぱっぴー!!

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