出先のスーパー。
「お兄ちゃん、お箸つける?」
『あ、大丈夫です』
〝お兄ちゃん〟と呼ばれたり。
ランニング中。
「あんさんこんな朝から頑張るねえ。」
『ありがとうございます!』
〝あんさん〟って、声をかけられたり。
「君、僕達と一緒に汗を流さないかい?」
よく分からない男性だらけのジムに勧誘されたり。
…最後の一つはともかく、オレは男の子に見られているらしかった。
それが一番大切なことで、そうあることでオレはオレでいられるのに。
なんだか、無性に胸がざわついて仕方がない。
晩ご飯の食材を買い終えてから家に戻る。
郵便受けを覗くと、無駄にぶ厚い封筒が入っていた。
封筒には、「雄英高校ヒーロー科受験結果のお知らせ」とある。
『……きた、』
ついに、結果が。
ドクドクと鳴る心臓を手で押さえつけ、ひとり家の中に入った。
◇
『私が投影された!』
…わ、びっくりした。
封筒を半分に破る。すると、突然大きなオールマイトが投影された。
『糸井少年!レスキュー36P、ヴィラン43P!79P、入試に1位合格だ!来いよ、ここが君のヒーローアカデミアだぜ!!』
映し出された彼は、オレの合格を告げる。
(ーーーっっっしゃあ!!!!)
雄英の入試に、合格。
とんでもなく嬉しい。
小さい頃からの憧れは、
オレが〝オレ〟であることに意味をつける。
ヒーローになる夢に、また1歩近づいた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。