第5話

#05 【オオカミくんの待ち伏せ】
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2020/04/25 03:35





-2日目の朝-



慌ただしく準備を済ませ
家を出る莉月。


家の前には退屈そうに待つ涼麻。


涼麻
涼麻
おー。おはよ。
莉月
莉月
おはよぉ!!!起きれたの??
涼麻
涼麻
俺だってそんな毎度毎度寝坊しねぇよ。
莉月
莉月
ぁははッ。そだよね!!
鈴ちゃんと杏ちゃん公園
着いてるって!!急ごッ!!




4人は何時もの様に待ち合わせ
通い慣れたコンビニでおやつと飲み物を
購入すれば学校へと向かう。


笑い話で盛り上がりながら学校を目前にした時
4人の視線は1点に集中する。
正門前にしゃがみ込む1人の生徒。空羽弥。


いつもなら学校にギリギリで到着する彼。
其のくせ急ぐ様子もなく教室に入るそんな彼が
なぜこの時間に……?


4人の足が止まる。
先に口を開いたのは杏果だった。




杏果
杏果
ちょ……何でオオカミ居んの??
始業時間30分前だよ??え??何??今日雪降る??
鈴音
鈴音
さすがに昨日の怒ってんのかな……。
寧ろあたしらジャンケンしてた時
起きてた……とか??
杏果
杏果
げ。だとしたらやばい。
締められるようちら。
涼麻
涼麻
彼女でも待ってんじゃねぇの??
何も普通に通れば良いだろ。
莉月
莉月
そぉだね。うん。







鈴音と杏果の話を耳に少々不安を
抱えながらも歩き出す莉月。


4人は歩みを進め会話もなく空羽弥の前を
スッと通り過ぎる。
空羽弥
空羽弥
おい。


後方からの呼び掛けに再び4人の足が止まる。
気づかない筈がない。
全神経を空羽弥に注ぎ歩いていた。





一斉に振り返る。



鈴音
鈴音
何でしょう??
空羽弥
空羽弥
違う。お前じゃない。そこの飴玉。
莉月
莉月
……??キョト
空羽弥
空羽弥
オレンジの飴玉。お前だよ。
莉月
莉月
……は……はいッ!!!
空羽弥
空羽弥
俺の名前、オオカミくんじゃねぇから。
城島 空羽弥 (キジマ クウヤ)。
同じクラスなんだから名前くらい覚えろよ。
それだけ。




そう言い捨てれば鞄を肩に掛け
空羽弥は教室へと歩みを進める。


杏果
杏果
はぁ~~~??なにあの態度腹立つ。
鈴音
鈴音
お前じゃない。じゃないわよ。
え??……ちょ、莉月??
歩みを進める空羽弥を追う莉月を
驚くように見つめる3人。


パタパタ…………キュッ……。


追いつきブレザーの裾を握る莉月に
体制を崩す空羽弥。



空羽弥
空羽弥
ちょッ…おい。危ねぇな、何だよ!!
莉月
莉月
ビクッ……!ぁ……ごめッ……。あの……あたしもッ……
飴玉……じゃない……です。

清白 莉月(スズシロ リル)!!
因みに……オレンジの飴玉でもない!!……です。
空羽弥
空羽弥
フッ…。悪かったな。莉月。
莉月
莉月
あ……はいッ。






微笑浮かべ空羽弥はまた歩み進める。


極度の緊張だったのか莉月はそのまま
しゃがみ込む。


心配した3人は駆けつけ
4人並べばまた教室へ向かった。























-to be continued-

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