とりあえずカラオケに行く
いつも決まって
延長なしの2時間で
君はコーラを飲む
特製アイス、なんて言って
はしゃいで作ってる
それを見るのが僕は好きだ。
「 お正月だし
人多くて疲れたー 」
そう言いながら君は
デンモクとにらめっこ
あのね、と言って
入れた曲の説明を僕にする
「 この前テレビで‥ 」
君の話を遮り曲が流れる
はい、とマイクを僕に渡す
これも毎回。
1曲目は歌わない、らしい。
僕の歌を聞きながら
アイスを食べてる君
たまにおいしーって
目をキラキラさせて言う
アイスは空気、らしい。
あっという間に完食して
曲が終わったと同時に
「 廉、作りに行こう 」
ひとりぼっちさみしーなんて
君が言うもんだから
仲良く手なんか繋いじゃって
ドリンクコーナーまで歩く
「 次は廉が作って 」
曲の感想なんて
もちろん言わないんだ
君の頭の中は今
チョコソースのアイスで
埋め尽くされてるんでしょ?
全部わかってる。
僕が君のために
ドリンク用のグラスを持つと
怒られない?って心配そう
大丈夫、と僕が言うと
いっぱい食べれるーって笑顔になる
可愛くて、おまけに
コーンフレークも追加。
嬉しそうに
部屋まで持って帰る
アイスにヤキモチなんて
僕もまだまだだな。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。