第4話

1-4
919
2019/01/16 19:23




カラオケを出て渋谷駅。

君が切符を買うために
手から離した大きい荷物を
さり気なく持つ

「 あ、ごめんな。
  ありがと。重くない? 」

僕は君のスーパーマンだから
重くなんてないのさ、なんて
かっこつけて言ってみる

ばーか。って君は
満更でもなさそうに笑った



「 山手線って
  大阪でいう環状線やなー 」

車内に表示されてる
液晶を真剣に見つめてる

僕が話しかけると
今頑張って覚えてんの
って怒られた

炭酸一気飲みして
ゲップ出さずに一周全部言うつもり?

そんな冗談も今は
怒られそうだから胸に閉まった



最寄りに着いて家まで歩く。

今回は珍しく
僕の家にお泊まりするって

いつもはホテルとって
僕のことなんてほっとくくせに

君はまだ
山手線の駅の名前を言って
難しい顔をしてる

原宿渋谷品川東京…って
駅数少なすぎでしょ。




ふたりでマンションに戻った。

「 おじゃましまーす 」

そう言って君はなぜか床に座り込んで
廉の部屋変わんないねって

僕はソファーに座って
冷えるからおいでって君を呼ぶ

いいって首を横に振る君の手を
無理矢理に引っ張って
ソファーまで連れてく

変態って僕を見つめながら
君がつぶやくから

優しくキスをして、
会いたかったって抱きしめた。





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