「 少しは落ち着いた? 」
1人じゃどうしようもなくて
どうしても誰かに話を聞いてほしくて
電話をかけると紫耀が
僕を家に招待してくれた
うん、ってとりあえず応える
ふと鏡に写った自分が
無様すぎて泣き笑い。
目なんて腫れてるし真っ赤だし
鼻もてっぺん赤くて
人生終わったような顔してた
何で振られたんだと思う?
紫耀に問い掛ける
「 分かんないの? 」
少し呆れ気味に言われて
なんか知ってるなら教えてと
必死に問い詰めた
紫耀はちょっと悩んでから
僕に話し始めた
昔はキラキラしてた
今は全部がありふれてる
ほんとに好きか分からない
何も伝わってこない
毎日不安で仕方ない
愛されてないと思う
話を聞いて
何度も胸が痛くなった
君に届いてなかった、
急にすごく悲しくなった。
今更後悔しても遅いと分かっていたけど
後悔することしか出来なかった
「 すっげー悩んでたよ。
一昨日相談されたし 」
意外な事実にびっくりして
色々思い返した
そういえばあのとき―
思い当たる節がありすぎて
また泣きそうになった
それと、
紫耀が辛そうな顔で言った
「 廉は芸能人だから
ずっと一緒にはいれない 」
「 人気者だから
独り占めは出来ないし
それがすごく切ない 」
「 普通の大学生だったら
芸能人なんかじゃなくて
普通の男の子だったら 」
でもわがままだよねって
泣きそうなの我慢して
痛いくらいの笑顔で言ってた
そんな話を聞いて
もう1回付き合おうなんて
簡単に言えなかった
応援してくれていたはずの仕事が原因で
そんなに悩んでいたなんて
頭の中が真っ白になった。
ずっと守るって
ずっとそばにいるって
約束したばっかりなのに
もう破っちゃった
君がいなきゃ
約束なんて意味がないよ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。