名取「ねえ、のぞみ先生ってさ。」
灰谷「ん?」
名取「のぞみ先生って優秀だけど白石先生みたいにみんなをまとめる力無さそうだよね…。」
灰谷「うーん…。そうかな?」
名取「だってあすか先生は冴島さんみたいにみんなを引っ張ってるけど、のぞみ先生は……。」
横峯「だって、のぞみ先生まだ来たばっかりなんだよ?慣れるまで時間かかるよ。」
雪村「多分のぞみ先生に聞こえてますよ?」
三人「え?」
横峯先生、灰谷先生、名取先生がそっとのぞみを見るとのぞみと目があった。
横峯「いや、のぞみ先生が使えないって言ってるんじゃなくて……。」
灰谷「そ、そうだよ……。」
のぞみ「別にいいですよ。白石先生は現場に行けば指揮官だし、救命ではスタッフリーダーだから。……それに小さい時から比べられてきたから慣れてます。では、ICUとHCUに行ってきます。」
名取「…………。」
のぞみは救命の医局を出ていった。
あすか「のぞみ?」
のぞみ「…………。」
あすか「のぞみ。」
のぞみ「……………。」
あすか「のぞみ!」
のぞみ「わあ。どうしたの?」
あすか「どうしたの?じゃないよ。何回も呼んでたのに。」
のぞみ「そうなんだ…。ごめん。」
あすか「のぞみ、何かあった?」
のぞみ「いや……。白石先生は指揮官とかスタッフリーダーとかみんなをまとめてるけど、私にはそんな力がないって………。」
あすか「それ言ったの、横峯先生と名取先生じゃない?」
のぞみ「うん……。ってなんで分かったの?」
あすか「私、今はみんなを引っ張ってるけど、私も言われたことあるから。なんで冴島さんの妹なのにって。」
のぞみ「そうなんだ……。」
あすか「そうだよ。だから気にしないで仕事しよう。」
のぞみ「うん。」
あすかとのぞみはICUの患者、HCUの患者を次々見ていった。
横峯「言い過ぎたのかな?」
名取「いや、大丈夫じゃない?」
灰谷「謝った方が……。」
雪村「多分、落ち込んでますよ。」
緋山「どうしたの?」
藤川「何の話?」
冴島「余計なこと聞かないで。」
藤川「ごめん。あれ?余計なこと言わない。じゃないんだ。」
冴島「余計なこと言わない。」
藤川「は、はい。」
藍沢「で、何の話だ。」
横峯先生、灰谷先生、名取先生、雪村さんはのぞみに言ってしまったことを全て話した。
緋山「あーー、それ私でも傷つくよ。」
藤川「なんで、そんなこと言ったんだよ。」
白石「のぞみ、小さい時から傷つきやすいから、もしかすると考え込んでるかも。」
冴島「のぞみ先生、どこに行ったんですか?」
そう冴島さんが聞いた時、のぞみとあすかが戻ってきた。
白石「のぞみ、考え込まなくていいよ。ってあれ?」
緋山「落ち込んでない?」
冴島「以外と元気だね。」
のぞみ「心配してくれてありがとう。でも大丈夫だよ。あすか先生のお陰で。」
藤川「あすか先生、なんか言ったの?」
あすか「ん?何も~。」
白石先生の妹だからとか冴島さんの妹だからっていう姉妹を比べる話はあすかとのぞみの秘密なのです。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!