藤川「そういえばさ、あすかちゃんの名前、明日って書くんだね。」
冴島「は?今さら?」
藤川「ごめん…だって明日であすかって…。……そういえばあすかちゃんは?」
緋山「またあの子のところに行ってるよ。まだ、意識戻らないんだって……。」
藤川「じゃあ、白石もか?」
藍沢「ああ、そりゃ大事な妹だからな。…でもあすかも白石も仕事以外ずっとそばにいるから、休ませないとそろそろ倒れてもおかしくない。」
緋山「うん、そうなんだけどね。」
1週間前、大雨が降り続いて土砂崩れが起き近くの民家が全滅。
たくさんの死者、重傷者が出た。
ちょうとその時、カンファレンスをしていたところ、ドクターヘリ要請が来ていつも通り黒田先生、橘先生と三井先生を除く藍沢先生、白石先生、緋山先生、冴島さん、藤川先生、横峯先生、灰谷先生、名取先生、新海先生、森本先生、そしてあすかも現場に向かった。
そこであすかの小学校からの大親友でもあり、ライバルでもあり、一緒に今まで学んできた子と会うとは思わなかっただろう。
そして白石先生もまさか歳の離れた妹が現場にいるなんて思わなかっただろう。
藍沢「白石。どんな感じだ?」
白石「藍沢。トリアージは、のぞ……じゃなくてあの子が先にやってくれてたらしいから患者診ながら再トリアージして。」
藍沢「ああ。新海と頭の患者優先に見る。」
藤川「じゃあ、俺はあすかちゃんと骨盤骨折だな。」
緋山「私と名取で妊婦と黄色タグ見る。」
横峯「私は赤タグを診ます。灰谷先生は緑タグの処置と搬送終わったら来て。」
灰谷「分かった。」
それから時が経ち赤タグが二人、黄色タグが三人を翔北に搬送すればいいと思った矢先、地響きがした。
次の瞬間、白石先生がいる本部の地面がいきなり崩れた。
白石「あ…。」
??「危ない!」
白石「きゃ…。」
白石先生は誰かに押された。
でもその正体はすぐに分かった。
??「いた……。」
白石「ありがとうってのぞみ?」
のぞみ「お姉ちゃんが…怪我しなくて…良かった。」
白石「のぞみ、怪我した?」
のぞみ「…背中……。息できない…。」
するとちょうどあすかがこちらに向かってきた。
白石「あすか先生。」
あすか「のぞみちゃん?……挿管します。」
白石「あすか先生、のぞみのこと知ってるの?」
あすか「私の小学校からの大親友です。……白石先生はどうして?」
白石「のぞみは私の妹なの。冴島さんとあすか先生みたいに歳が離れてるけど……。」
あすか「じゃあ、話は早いです。……緊急オペが必要です。このままだと歩けなくなります。」
白石「分かった。…ヘリで翔北に運んでオペしよう。」
あすか「はい。」
のぞみをドクターヘリに乗せ、白石先生とあすかは翔北に戻った。
そのあと緊急オペをして、今に至る。
あすか「のぞみ、無事にフライトドクターになれたんだね。」
白石「ん?のぞみ、フライトドクターなの?」
あすか「はい。」
白石「でも、のぞみはサヴァン症候群だよ?障害が……。」
あすか「確かにのぞみはサヴァン症候群だけど……私と同じ首席で小・中・高・大卒業してるから。」
白石「そうなの?」
あすか「でも、のぞみはサヴァン症候群だからってフライトドクターになかなかなれなくて、最近やっとフライトドクターになったって。」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!