あれから数分でドクターヘリは翔北に戻ってきた。
白石「ここが翔北。1週間早いけどせっかくだから挨拶して行ったら?」
あすか「はい。……あの、お姉ちゃん…」
白石「ん?」
あすか「いえ、何でもありません…。」
そして白石先生と一緒に中に入って行く。
白石「戻りました。」
橘「おー。無事戻ったか。」
白石「はい。」
三井「あなたがあすか先生ね?黒田先生の右腕の?」
あすか「はい。はじめまして。来週からこちらでお世話になる、冴島あすかです。宜しくお願いします。」
藍沢「白石。」
白石「藍沢先生、さっきの頭の患者どうなった?」
藍沢「痙攣の原因は脳出血だった。でもオペして一命は取り止めた。今、ICUにいる。」
白石「良かった。…そういえば、冴島さんは?」
藍沢「ああ。今、藤川がCT、MRIと検査してる。」
藤川「藍沢、白石。」
白石「藤川先生、冴島さんどうだった?」
藤川「左右の肋骨にヒビが入ってた。」
白石「そうなんだ。」
一方、黒田先生と森本先生は…
橘「黒田先生、森本先生。ありがとうございました。」
森本「いや~、俺は医者だから当然のことをしただけさ。」
黒田「それにしても、藍沢、白石、緋山、藤川、みんな成長したな。」
橘「はい。黒田チルドレンなので。」
三井「橘先生、冴島左右の肋骨にやっぱりひび、入ってたみたい。」
橘「あすか先生の言った通りだな。」
森本「じゃあ、奥さんが待ってるので帰ります。また、何かあったらいつでも呼んでください。」
橘「はい、ありがとうございます。」
黒田「俺もそろそろリハビリに行かないと。あすかのこと宜しくな。」
橘「はい。」
そして森本先生と黒田先生は帰って言った。
冴島「緋山先生。」
緋山「どうした?肋骨痛む?」
冴島「はい。でも大丈夫です。それより…来週から新しい人来るんですよね?」
緋山「そうみたいだね。」
冴島「使えますかね?」
緋山「さあね?でも冴島の肋骨のひび、現場で瞬時に見つけたから使えるんじゃない?…どうして?」
冴島「いや、現場でその子、お姉ちゃんって……。」
緋山「冴島、妹いたの?」
冴島「はい、会ったことはありませんが……。」
緋山「会ったことないの?」
冴島「はい。だって私が医学部落ちて家を出て看護学校に行っていた時に産まれたらしくて……。」
緋山「その子と何歳離れてるの?」
冴島「20歳……。」
緋山「え…。」
すると藤川先生が入ってきた。
藤川「はるか~。ごめんな、守ってあげられなくて……。」
冴島「はるかって呼ばないで下さい。……私こそごめん……。怪我しちゃって…。」
藤川「は、はい。……冴島は悪くないよ。」
緋山「ねえ、藤川。来週から来る新しい人見た?」
藤川「え?……でもいつも見ない、かわいい子いたな。」
その頃、こちらでは…
白石「あすか先生、ずっと気になってたんだけど……」
あすか「はい。」
白石「なんで、冴島さんの怪我のこと分かったの?」
あすか「白石先生はオッドアイとバイアイの論文、知ってますか?」
白石「え?それって虹彩異色症よね?」
あすか「はい。」
白石「それがどうしたの?」
あすか「今はオペで治りましたけど、私先天性で生まれつき目の色が違ってたんです。何しろ、母は私を高齢出産で産みましたから……。それで後遺症で気づいたら人の怪我とか病気をCTやMRIみたいに見えるようになってました……。」
白石「まさか、それで?」
あすか「はい。」
橘「だからか…。前に黒田先生が不思議な子がいるんだ。でも判断力もオペ力も優秀だ。俺が指示を出さなくてもいいくらいの新人の医者が俺の右腕なんだ。って言ってたから…」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!