…アラートレッド、アラートレッド…
白石「私と藍沢先生、冴島さんで先に行くから橘先生と三井先生を残して全員来て。」
皆「はい。」
橘「分かった。」
三井「気をつけて。」
消防の連絡によると…事態は最悪で、トンネル内で電車の脱線事故。
視界は真っ暗で黒タグもたくさん出ているらしい。
そして次は横峯先生、灰谷先生、雪村さん。
その次が緋山先生、藤川先生、名取先生。
そしてあすか、新海先生が現場に向かおうとしたとき……
…アラートレッド、アラートレッド…
飛行機が乱気流に巻き込まれてドクターヘリ要請が来た…。
橘「こっちもか…。」
あすか「どうします?」
橘「とりあえず、あすか先生を送る。そのあとのことは…。どうにかする…。」
あすか「分かりました。」
そしてあすかは飛行機の方に向かった。
一方、橘先生と三井先生は…。
三井「黒田先生、森本先生にも連絡してみる。」
橘「ああ。俺は白石に…。」
白石「はい、白石です。」
橘「白石、橘だ。今、飛行機が乱気流に巻き込まれてドクターヘリ要請が来た。あすか先生をそっちに向かわせたが……。」
白石「あすか先生、1人だけでは無理ですよね。分かりました。こっちからも何人か向かわせます。」
橘「ああ。頼む。」
三井「黒田先生も森本先生も来れるって。」
橘「そうか。助かる。」
三井「あと、轟木さんと梶さん森本先生と一緒にいるらしくて連れて来るみたいよ。」
橘「よし、じゃあ翔北からドクターヘリ出せるな。」
実は今、ドクターヘリに乗っているパイロットは早川さんでCSは町田さん。
そして翔北にはドクターヘリが2機あるため、今回だけもう1機使うことにあり、パイロットに梶さん、CSに轟木さんを呼んだのだ。
橘「あすか先生、黒田先生と森本先生もそっちに向かわせる。」
あすか「分かりました。」
三井「あと、白石が新海先生と名取もそっちに向かわせるって言ってた。トリアージ優先にして。」
あすか「分かりました。トリアージはもう終わってます。」
三井「あすか先生は仕事が早いわね。分かったわ。」
それからどのくらい経ったのだろう。
助けられる命は何とかして全員無事に救うことが出来た。
だが、あすかは黒タグの救えなかった人たちを思い出して、人目につかないところで泣いていた。
あすかが翔北に来てから今まで救えなかった命が救うことが出来るようになった。
でも、助けられない命もあった。
そんな時、あすかはいつも亡くなった患者を思い出して隠れて泣いていた。
白石「みんな、お疲れ様。電車の事故と飛行機の事故、同時に起きたみたいで、ほんとに大変だったけど、みんな怪我なく帰ってきた。」
緋山「ねえ、あすか先生どこ行った?」
藍沢「さあな。」
藤川「迎えに行くか?」
冴島「行かなくていいよ。」
名取「どうしてですか?」
横峯「1人にしてあげて……。」
灰谷「そうだよ……。」
雪村「心の整理がつくまで……。」
三井「17歳で堂々としてる方が怖いから。」
橘「うん、そうだな。」
みんな、あすかがいなくなった理由が分かっていた。
そして白石先生、緋山先生、冴島さん、三井先生、横峯先生、雪村さんがあすかが泣いている部屋にそっと入り、いつもそっと抱き締めてくれた。
そしてあすかが落ち着くまで何も言わず、そばにずっといてくれた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。