木々をくぐり抜け、
岩を乗り越えて__。
先へ進む。
凄くしんどい。
動作は慣れつつあるけど、それでもやっぱり…
ドスッ
…盛大にこけた。
足がもつれる。
避ける動作はできるのに、体力が無いから
こうして、障害物に引っかかるんだ。
早くしないと。
このままじゃ直ぐに日が落ちる。
…急げ…ッ
ダッ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
アイツは直ぐに帰って来れるのかァ…。
もし、本当に『藤宮 伊織』の子孫なら、
藤宮 伊織の遺伝みたいなのはあるはずだァ。
…でも。
子孫ではなく、ただの人間なら。
…なにかに特化したとか…、
そういうものは無いだろうがなァ…。
恐らく、普通の人間なら。
あの山を日が落ちるまでに下山するのは無理だァ。
…さァ。
『藤宮 あなた』は。
どうなるのかねェ…(ニヤッ
…日が落ちるまで帰って来れたらァ…
…アイツの好物、何か作ってやるかァ…
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!