やはり、鬼の始祖 と言ったものか。
刀を振っても、振っても。
アイツには、届かなかった。
それどころか…、
距離が縮められない。
…ダメダメ、焦らないで。
焦りは…禁物なんだから…、
息を整えて、前を向く。
…殺意を向けて、相手を見る。
…その刹那。
誰かの声が、脳内を支配する。
『わ ら わ に そ の 身 を 貸 し て は く れ ぬ か ?』
…え、?
『 お 主 の 身 は わ ら わ の 身 に
最 も 近 い の じ ゃ 。』
『 わ ら わ な ら 、こ の 戦 い を
終 わ り に 近 づ け る こ と が で き る 。』
『 だ か ら 、 お 願 い じ ゃ 。』
『 わ ら わ に 体 を 貸 し て は く れ ぬ か 。 』
…恐らく、この声の主は、 “藤宮 伊織”だろう。
…きっと、この人なら…
感謝する、あなた殿。
お主の望み通り、
この残酷な世界に終止符を打ってみせよう。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。