第103話

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2021/05/24 15:13








































拝啓 藤宮 あなた様



よぉ、あなた。 元気か?

恐らく、お前がこれを読んでるってことは

俺は死んでるんだな。

違和感しかねぇな…。




まず一つ、お前に謝りたいことがある。

病室に行った時、

そのまま最後に会うことになってすまなかった。

一つ言うと、俺はお前とまた過ごしたかった。

それも、一生。

嘘じゃねぇ、本気だ。




俺はお前と籍を入れて、過ごしていたかった。

だが、俺はもう残り少ない命だ。

籍を入れたところでお前だけが悲しむことになる。

お前の過去を聞いてからずっと思っていたが、

これからお前が悲しむことだけは嫌だった。

だから、あの日以降

お前とは関わらないことを決めていた。



お前、俺を探しに川辺とか和菓子屋とか行ってだろ?

よく俺はあそこに居たから逃げるのが大変だったよ…

まぁ、それも少し楽しかったがな。

でもこれでもうお前から逃げることはないんだな。




 やっぱりお前と居たかったよ。




長くなるから、この辺で終わるか。





















なぁ、あなた。

最後に、言わせてくれ。





































       俺 は お 前 を 愛 し て た 。




























じゃあな、あなた。

これから充実した生活を送ってくれ。
































幸せになれよ。



















                  不死川 実弥























































藤宮あなた
ぅ…ぁ…ッッ







































涙が、溢れる。
































その涙が、手に持っている文に落ちる。


















































実弥さんの書いた字を、愛おしく指でなぞる。


































藤宮あなた
馬鹿ぁ…ッッ、
藤宮あなた
口に言ってくれないと…
分かんないじゃないですかッッ…
藤宮あなた
なんで今、
文で伝えてくるんですか…ッッ!



































私だって…ッッ















































『 ‪私 だ っ て

実 弥 さ ん と 一 緒 に 居 た か っ た で す よ … ッ ッ 』




































































だが、その言葉は伝わることなく




































虚しく、消えていった。


































































┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




















私は今、実弥さんの墓の前に立っている。


































花を供え終えて、手を合わせる。
























_実弥さん、私やっぱり幸せになれません。




















貴方がいないと、前みたいに笑えないんです。






































笑うどころか、

ここに来たら泣いてしまうんです…ッッ、









































…でも、私、頑張って生きます。


































寿命を迎えるまで、生きてみせます。
































だから、私はおばあちゃんになりますが…



















































向こうで、再会しましょう?


































そして、一緒に生まれ変わって…












































次の世界で、絶対に結ばれましょう。










































それまで、待っていてくださいね。






































実弥さん。













































┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




























藤の花の下で、男女の2人が出会い、抱き合った。









































そして10年後、2人は籍を入れた。
































2人は、今までにないくらい…
































太陽のように明るい、笑顔だった。









































「もう、一生離さねェ…ッッ」























「私も、一生離れませんよ…ッッ」



































































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