次の日
仕事が少し予定よりも押したけど
なんとか早めに切り上げて
家に帰って来ることが出来た。
はるくんからの連絡はまだない。
とりあえず、ちょっと片付けようかな。
あ、ご飯どうしよ
はるくん何か食べてくるかな…
軽く何か作ろうか…。
冷蔵庫の中を確認したら
ちょうど下味をつけて冷凍してある鶏肉を発見
サラダの材料もあるし…
買い物に行かなくても済みそう。
わたしは急いで洗濯物をしまって
エプロンを付けて、髪の毛を一つにくくって
料理に取り掛かった。
料理の下ごしらえがちょうど終わった時
はるくんから〇〇NEが来た。
早く会いたい。
と返信をしてソワソワしながら
はるくんがやって来るのを待っていた。
ピンポーンとインターホンの軽快な音が鳴り響く。
玄関のドアを開けると
ちょっと疲れた顔したはるくんが立っていた。
はるくんは靴を脱いで
一緒にリビングに向かった。
疲れてるっぽかった
はるくんのテンションが一気に上がった。
わたしが頷くと
はるくんは、やった!と
キラキラな笑顔で言いながら
リビングに足を進めた。
わたしははるくんに
ソファに座るように言って、キッチンに入った。
先にお茶でも飲むかな?
と思って、キッチンから「はるくん」と振り返ると
わたしのすぐ後ろにはるくんが立っていた。
わたしはお気に入りの花柄の
エプロンの裾を摘みながら
どこかおかしいところがないかチェックする。
はるくんが愛しげにわたしを見つめて
わたしははるくんの腕の中に押し込まれた。
はるくんがわたしをギュッっと抱きしめる。
わたしもはるくんの腰に腕を回して
「わたしも会いたかった」と言うと
はるくんは私の体を少し離して
わたしのおでこにキスをした。
顔を真っ赤にしているはるくんが可愛くて笑った。
はるくんはわたしが作った料理を
ペロッと平らげてくれた。
はるくんは、テーブルの上を片付ける
わたしを見ながらちょっと真剣な顔で言ってきた。
それはわたしの本音だった。
なかなか会うのも難しいし、
何よりはるくんに
迷惑がかかるようなことはしたくないから…。
わたしの家ではるくんが
少しでもリラックス出来るなら大歓迎だ。
確かに昨日は
プレゼンの帰りに表参道歩いてた。
…あ、これは完全に伊吹さんの事だ。
告白された事も頭に浮かんだけど
そんな事言ったらはるくん
きっと気を悪くしちゃうわよね…。
言わない方がいいな
わたしは片付けていた手を止めて
はるくんの隣に座った。
はるくんにニコッと笑いかけると
はるくんは眩しそうにわたしを見てから
わたしの腕を掴んで引き寄せた。
どくん、どくん、とはるくんの
心臓の音が間近で聞こえる。
はるくんの腕の中は
暖かくて心地がいいから好き。
彼の胸に顔を埋めるようにしてそう言うと
わたしを抱きしめる腕の力がもっと強くなった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。