第35話

会えなくても
144
2020/12/05 15:24
次の日



仕事が少し予定よりも押したけど




なんとか早めに切り上げて




家に帰って来ることが出来た。




はるくんからの連絡はまだない。
美麗
美麗
さて、何からしようかな…

とりあえず、ちょっと片付けようかな。





あ、ご飯どうしよ



はるくん何か食べてくるかな…




軽く何か作ろうか…。



冷蔵庫の中を確認したら



ちょうど下味をつけて冷凍してある鶏肉を発見




サラダの材料もあるし…




買い物に行かなくても済みそう。




わたしは急いで洗濯物をしまって





エプロンを付けて、髪の毛を一つにくくって





料理に取り掛かった。
はる
はる
今終わった。
これから向かうね
料理の下ごしらえがちょうど終わった時





はるくんから〇〇NEが来た。




早く会いたい。
mirei
mirei
了解です。
気をつけて来てね


と返信をしてソワソワしながら




はるくんがやって来るのを待っていた。
ピンポーンとインターホンの軽快な音が鳴り響く。




玄関のドアを開けると




ちょっと疲れた顔したはるくんが立っていた。
美麗
美麗
…いらっしゃい、どうぞ!
晴人
晴人
なんか…、めちゃくちゃいいニオイする
あ、お邪魔しまーす
はるくんは靴を脱いで



一緒にリビングに向かった。
美麗
美麗
はるくん、ごはん食べた?
晴人
晴人
ん?いや、まだ
美麗
美麗
… 軽く作ってみたんだけど…
良かったら食べる?
晴人
晴人
…ほんとに??


疲れてるっぽかった





はるくんのテンションが一気に上がった。
晴人
晴人
ひょっとして…唐揚げ?
美麗
美麗
…うん、そう笑
わたしが頷くと



 

はるくんは、やった!と




キラキラな笑顔で言いながら




リビングに足を進めた。
美麗
美麗
すぐに出来るから座って待っててね
わたしははるくんに




ソファに座るように言って、キッチンに入った。





先にお茶でも飲むかな?




と思って、キッチンから「はるくん」と振り返ると





わたしのすぐ後ろにはるくんが立っていた。
美麗
美麗
び、っくりした。どうしたの?
晴人
晴人
…美麗のエプロン姿、初めて見た
美麗
美麗
…え、変…かな?

わたしはお気に入りの花柄の




エプロンの裾を摘みながら





どこかおかしいところがないかチェックする。
晴人
晴人
…いや、いいなぁって思って…
はるくんが愛しげにわたしを見つめて




わたしははるくんの腕の中に押し込まれた。
晴人
晴人
めちゃくちゃ会いたかった


はるくんがわたしをギュッっと抱きしめる。





わたしもはるくんの腰に腕を回して




「わたしも会いたかった」と言うと




はるくんは私の体を少し離して





わたしのおでこにキスをした。
晴人
晴人
…へへへ笑

顔を真っ赤にしているはるくんが可愛くて笑った。















はるくんはわたしが作った料理を




ペロッと平らげてくれた。
晴人
晴人
めちゃくちゃ美味しかったー!
なに?あの唐揚げ、毎日でも食べたいんだけど!
美麗
美麗
喜んで貰えて良かった!
こんなので良かったら、いつでもどうぞ?
晴人
晴人
そんな事言われたら…俺ほんとに毎日来るよ?


はるくんは、テーブルの上を片付ける




わたしを見ながらちょっと真剣な顔で言ってきた。
美麗
美麗
…いいよ?はるくんの好きな時に来て

それはわたしの本音だった。




なかなか会うのも難しいし、




何よりはるくんに




迷惑がかかるようなことはしたくないから…。





わたしの家ではるくんが




少しでもリラックス出来るなら大歓迎だ。
晴人
晴人
美麗…
美麗
美麗
なに??
晴人
晴人
昨日、美麗を見かけた
表参道で
美麗
美麗
え…うそ、ほんとに?
晴人
晴人
俺、車だったけど…


確かに昨日は




プレゼンの帰りに表参道歩いてた。
晴人
晴人
… 美麗の隣に、この間の居酒屋でバッタリ会った男の人がいて


…あ、これは完全に伊吹さんの事だ。
美麗
美麗
あ、あの人は
会社の人で…昨日、一緒に商談だったから


告白された事も頭に浮かんだけど




そんな事言ったらはるくん




きっと気を悪くしちゃうわよね…。




言わない方がいいな
晴人
晴人
そう…だよね
そう思ったんだけど、なんだか
楽しそうに2人で歩いてたからさ…
美麗
美麗
………
晴人
晴人
俺、こういう仕事だし
休みも不規則だし、普通のカップルみたいな事って難しいじゃん?
美麗
美麗
……
晴人
晴人
…羨ましくなって…
美麗の隣にいたあの男の人が
美麗
美麗
わたしが好きなのは…はるくんだけよ…?

わたしは片付けていた手を止めて




はるくんの隣に座った。
美麗
美麗
あまり会えなくても…
一緒に出来る事が少し限られていても
わたしは、はるくんの隣に居れたらそれでいいや笑
はるくんにニコッと笑いかけると




はるくんは眩しそうにわたしを見てから





わたしの腕を掴んで引き寄せた。
美麗
美麗
…はるくん?…どうしたの??

どくん、どくん、とはるくんの 




心臓の音が間近で聞こえる。




はるくんの腕の中は




暖かくて心地がいいから好き。
晴人
晴人
…ありがとう
美麗
美麗
なーに?もう、そんなの当たり前のことじゃない笑


彼の胸に顔を埋めるようにしてそう言うと




わたしを抱きしめる腕の力がもっと強くなった。

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