第101話

最悪の事態になる前に
136
2021/01/11 04:25



わたしは重い足をなんとか動かしながら








なんとか会社に着いた。






すると



美麗
美麗
…伊吹さん…
藍
…みーちゃん、ちょっといい?
美麗
美麗
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






伊吹さんはわたしを会議室に連れて来た。
藍
座って?足痛いんでしょ?
美麗
美麗




確かに、捻挫した足は






まだ完全には治りきってなかった。










わたしは伊吹さんの隣に座った。
藍
みーちゃん…
美麗
美麗
藍
…彼氏には?
美麗
美麗
…え?
藍
彼氏には…言ってないの?
美麗
美麗
…そんな…言うもなにも…
自分で転んだだけなのに
わざわざ言う必要…
藍
まだそんな事言ってんの?





伊吹さんが真剣な顔をして






わたしをまっすぐ見つめながら言った。
藍
…彼氏、話聞いてくれないの?
美麗
美麗
い、いや…
藍
最悪の事態になってからじゃ…
遅いんだよ…?
美麗
美麗
藍
いや…もうすでになってるかもね。
美麗
美麗
藍
俺なら…絶対そんな顔させないし
辛い思いさせない。





そう言って






わたしの手の上に自分の手を重ねてきた。






伊吹さんのその言葉で








涙がまた溢れ出す。
藍
…泣かないで?
美麗
美麗
すみません…





伊吹さんはいきなり立ち上がり






わたしの両腕を持って立たせて







わたしを優しく抱きしめた。



そして、伊吹さんがわたしの耳元で口を開いた。
藍
みーちゃんの事は、俺が守る
ずっとずっと、そばにいて…守るよ。



伊吹さんはそう言って、





わたしをもっとキツく抱きしめた。






ここで、伊吹さんを好きになれたら







どんなにいいだろう…








だけど、…わたしの心は…







気持ちは…




わたしは伊吹さんの胸を押して








自分から引き離した。
藍
美麗
美麗
…すみません…
わたしやっぱり彼のことが好きなんです。
藍
美麗
美麗
わたしのことなら…大丈夫ですから
心配しないでください…笑





わたしは、精一杯笑顔を作り







会議室から出た。

プリ小説オーディオドラマ