あれから、また忙しい日々が始まった。
はるくんも相変わらず忙しくて
帰ってくるのが夜中や明け方の事が多い。
わたしはわたしで残業が続いたり
休日出勤をしたりしていた。
華恋は、あの日以来
わたしとは一切
口を聞いてくれなくなってしまった。
麗奈はそんな状況に気づいたのか
「華恋と喧嘩したの?」って聞かれたけど…
軽い喧嘩だと嘘をついてしまった。
麗奈にまで、軽蔑されたら…と考えると
とても言えなかった。
そんなこんなで、
精神的にも肉体的にも
疲労はピークに達していた。
家につき
ソファーに座った。
ため息が出て来てから
わたしの鞄の中からスマホが鳴った。
公衆電話…?
わたしは不思議に思いながらも電話にでた。
なんだか、弱弱しい声だった。
そういって、一方的に切られた電話。
不思議に思いつつも
鞄を持って、公園へと向かった。
そんな時、わたしに向かって手を振る麗奈がいた。
公園の片隅のベンチに座っていた。
麗奈の方に駆け寄ると
いつもの麗奈ではなかった。
そんな言葉を言って
無理してわたしに笑いかけた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。