第72話

正体
136
2020/12/30 12:11
麗奈
麗奈
ねぇ…どこに行くの?
美麗
美麗
行ったらわかるよ

わたしの家での食事が終わり







わたし達はタクシーである場所へ向かっていた。





ちなみに、蓮くんは眠っている。




「お客さん。到着しました。」
美麗
美麗
あ、ありがとうございます。

わたしはそう言って、タクシーから降りて




麗奈は蓮くんを抱っこしている状態。





すると、建物からはるくんが出てきた。
晴人
晴人
あ!美麗!
美麗
美麗
はるくん!
麗奈
麗奈
はるくん??
あ、ひょっとして美麗の??
美麗
美麗
あ、…うん。そうなの
晴人
晴人
初めまして
美麗さんとお付き合いしています。
矢野晴人と申します。

はるくんは麗奈に頭を下げた。
麗奈
麗奈
あ、初めまして。
吉沢麗奈と申します!

蓮くんを抱っこしながら頭を下げた。
晴人
晴人
夜分遅くに、すみません。
ちょっとその子お預かりします。
麗奈
麗奈
…は?

はるくんはそう言うと




抱っこしている麗奈から蓮くんを




はるくんが抱っこした。
麗奈
麗奈
え、ちょ!美麗!これはいったい?
美麗
美麗
ごめん!麗奈!これ、してくれない?
麗奈
麗奈
これ…目隠しのやつじゃない!

麗奈に半ば強引に目隠しをさせて




わたしは前が見えない麗奈を支えながら





ある部屋へ入って行った。



その部屋は、特別に貸切状態で用意して貰った





バンドマンが使用する





音楽の小さな舞台だった。





入ると、わたし達の前には、





それぞれメンバーが担当の楽器を持って




いわゆる、ライブをやる体制になっていた。
麗奈
麗奈
ねぇ…美麗、いったいなんなの?

目隠しをされた状態で麗奈がそう聞いてきた。

わたしは、田口さんと目があった。




静かにわたしは頷いた。
美麗
美麗
麗奈。もう目隠し外していいわよ。
麗奈
麗奈
え?もう外していいのね?
外すわよ?

麗奈はそう言って目隠しを外して





前を見た。
麗奈
麗奈
………え?
美麗
美麗
……
達也
達也
…っ…

麗奈は驚きのあまり




ピクリとも動かなくなっていた。
美麗
美麗
…麗奈…
麗奈
麗奈
な…に

田口さんの表情が苦しそうな悲しい表情になった。
麗奈
麗奈
いったいこれはどういう事なの…?
っていうか、ここどこなのよ!
いきなり目隠しでこんな所連れてきて!
美麗
美麗
麗奈!!落ちついて聞いて?!
麗奈
麗奈
わたしはいつだって落ち着いてるわ!?
だけど、こんな事されて…
なにがなんだか……

麗奈は相当パニックになり、半泣き状態。

田口さんはギターを静かに置いて




麗奈に近づいた。
麗奈
麗奈
っ……、
達也
達也
麗奈さん…
麗奈
麗奈
…、
達也
達也
俺…バンドを結成してるんです。
…YouTube活動も…
麗奈
麗奈
?!!…、

麗奈の目から涙が溢れた。
達也
達也
…今まで黙っててすいませんでした。
だけど、俺は…!
麗奈
麗奈
…ない…
達也
達也
…え?
麗奈
麗奈
…っ、聞きたくないっ!!

麗奈はそう言うと、走って部屋から出て行ってしまった。
美麗
美麗
麗奈!!!
…っ田口さん…ごめんなさい…、
ちょっと待っててください!

わたしは急いで麗奈を追いかけた。
美麗
美麗
麗奈!!ちょっと待って!

麗奈は急いで蓮くんを抱っこしようとしたが




なんとか、腕を掴んで追いつく事ができた。

ポロポロ涙を流す麗奈。

わたしはとにかく、すぐそばにあった




長椅子に座らせて、隣に座った。



そこから数分後。



ようやく泣き止んで





落ち着きを取り戻した。
美麗
美麗
…麗奈。
麗奈
麗奈
……
美麗
美麗
ごめんね…いきなりあんな事して…
びっくりしたよね…
麗奈
麗奈
美麗
美麗
確かに…やり方は、多少刺激が強かったかもしれないし…
わたしも黙ってたのは悪かった。でも!
そこまでしてでも、田口さんは麗奈にはちゃんと目で見て…分かって欲しかったのよ…理解してほしかったのよ。
麗奈
麗奈
美麗
美麗
麗奈はさ…1人で蓮くんをあそこまで、立派に育て、真面目で…それでいて再婚もしようと思えばいくらでもできたはずなのに…そんな事せずに、一途だからこそ…なかなか自分の職業言えなかったんじゃないかな…。
麗奈
麗奈
美麗
美麗
麗奈がシングルマザーだとか…田口さんがバンドマンだとか…もう全部無しにしたら…
今頃…麗奈と田口さん、どうなってたんだろうね。
麗奈
麗奈
美麗
美麗
そうはいないと思うよ…?
自分の格好悪い部分までも見せられる相手は…
麗奈
麗奈
…美麗…
美麗
美麗
ほら!田口さん待ってるよ!笑

わたしがそう言うと、麗奈は優しい笑顔で
麗奈
麗奈
ありがと…

そう言って、田口さんを探しに行った。




と、同時にはるくんが2人分のジュースの缶を持って





わたしのところにきた。




その手には、オレンジジュースの缶だった。
美麗
美麗
笑…だから、わたし子供じゃないんだけど?笑
晴人
晴人
なに言ってんの笑
俺だってオレンジジュースだよ?笑
ほら笑

はるくんはそう言って、わたしの隣に座ってきた。
美麗
美麗
…はるくん…
晴人
晴人
ん〜?
美麗
美麗
…ありがとう…ここまでしてくれて…
さっきのはるくんの姿も、カッコ良かった…笑
晴人
晴人
…美麗の為なら、お安い御用。笑
それはどうも、ありがとう。笑




はるくんはそう言って、わたしの肩を抱いて




自分の方に引き寄せた。





わたしもはるくんに寄り添って





はるくんの肩に頭をおいた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




俺は、さっきの麗奈さんの事が頭から離れなかった。





やっぱ…もうダメだよな…笑






気持ち的に、人生初の失恋をした気分だった。





その時…
大我
大我
……あ、ねぇ、達也くん!

大我が俺の肩をポンポンとしたので






下げていた頭を上げると




麗奈
麗奈
…っ…


目と鼻を赤くした麗奈さんがいた。
達也
達也
……
大我
大我
じゃ、俺はもう帰るかな!
それじゃあ!
達也
達也
ありがとな…




大我は俺と麗奈さんを交互に見ながら





出て行った。





俺と麗奈さんの2人だけになった。

麗奈さんはゆっくり歩いて




俺の隣に座ってきた。


隣に座ってくれた。




それだけでも、俺の心は晴れていた。




て…ガキか俺は…
麗奈
麗奈
先程は…
達也
達也
??
麗奈
麗奈
先程は大変失礼な事しました…
申し訳ありません。
麗奈さんは座りながら俺に頭を下げてきた。
達也
達也
そ、そんなやめて下さい
麗奈さんが謝る事じゃないですよ!
俺こそ…ずっと黙ったままで

麗奈さんは、首を横に振った。
麗奈
麗奈
お忙しい中で、今まで蓮や、わたしの所へ来てくださってたんですね…。
ほんとにありがとうございます…

綺麗な笑顔で、俺に言ってきた。




その表情に…俺の心がまたときめいていた。
達也
達也
麗奈さん!!
麗奈
麗奈
達也
達也
お、俺…麗奈さんが…!


あれ、告白するのってこんなに緊張するもんだっけ…?






心臓がバクバクして、うるさいくらい。
麗奈
麗奈
…わたしは…田口さんが好きです。
達也
達也
…っ!!
麗奈
麗奈
…さっき初めて見て…聞いた時はめちゃくちゃ驚きました。
やっぱりわたしとの事も…面白半分で…
年上のシングルマザーってどんな感じなんだろうって…好奇心だけだったのかなって…そう思っちゃったんです。…笑
達也
達也
麗奈
麗奈
だけど…田口さんが田口さんである事には…
変わりはないんですよね…?笑
優しくて…人の気持ちを組みとる事ができる。
達也
達也
麗奈
麗奈
田口さんが大好きなんです笑
達也
達也
俺だって…
麗奈
麗奈
…え?

告白を先越されたけど





言われっぱなしではダメだ。
達也
達也
俺の方こそ…麗奈さんが大好きで大好きで…
どうしようもないくらい…
できるなら麗奈さんの横にいる男は…
俺でありたいんです…。
麗奈
麗奈
達也
達也
だから、俺と…!

付き合って欲しいって言おうとすると

麗奈さんが俺に近づいて




抱きしめられた。
麗奈
麗奈
田口さん…
達也
達也
…?
麗奈
麗奈
わたし…もうこれ以上…田口さんには負担かけたくはありません…。
わたしや蓮の事と普段のお仕事と
両立するってなれば…今は大丈夫でもいつかは支障をきたしてしまいます。
達也
達也
…っ?、
麗奈
麗奈
わたしみたいに、田口さんも倒れてしまいます。
…だから…

俺は、そこから先何を言おうとしているのか




分かりたくなくて




聞きたくなくて


麗奈さんの口を塞ぐかのように




俺はキスをした。
麗奈
麗奈
、!!?ッ…

初めはびっくりしていた麗奈さん




だけど、徐々に麗奈さんの身体から力が抜けて





気がつけば






俺は、ソファーに押し倒していた。

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