第94話

救世主
150
2021/01/05 15:39
藍
みーちゃん!
一未
一未
如月!




わたしの名前を一生懸命呼ぶ声。



誰?




少し目を開くと、見覚えのある人物…


視界がはっきりしないせいで




よく見えなかったけど、すぐに分かった。
美麗
美麗
伊吹さん…志摩さん…
藍
あ、みーちゃん!よかった!!
一未
一未

2人はめちゃくちゃ不安そうな顔で、




わたしの顔を覗き込んでいた。
美麗
美麗
わ、…わたし…

起き上がろうとするとお腹や足に激痛が走った。




あ…そうだ、思い出した。

わたし…あの子に暴力されたんだ…
藍
この腕とか足の傷どうしたの?!
めちゃくちゃ痛そう…
美麗
美麗
これは…


「ほかの人に言ったら
もっと酷い事しますから」

女の子が吐き捨てた言葉を思い出した。
一未
一未
如月…誰かにやられたのか

志摩さんがわたしにそう聞いてきた。



言えない。絶対
美麗
美麗
こ、これは…
ちょっと派手にこけちゃって!笑

咄嗟に出て来た言葉。




明らかにバレてしまう嘘だ。
藍
…こけた…?
美麗
美麗
はい笑、本当バカですよね笑




なんとか、必死にごまかそうとしたけど…




なんかそんな自分が嫌で、みじめで…





何より、暴力されたのがつらくて…ショックで…





今にも泣きそうだった。


藍
みーちゃん…
美麗
美麗
藍
俺達にそんな嘘は通用しない。
美麗
美麗
嘘じゃないです…本当に自分で…
一未
一未
嘘つくならもう少しマシな嘘をつけ


2人が真剣な瞳でわたしのことを見ていた。
藍
…本当は…彼氏の元カノ…
とかにやられたんじゃないの?
一未
一未
…考えられるな



伊吹さんの核心をつく言葉。





なんで分かっちゃうかな…




でも、言えない。




だって…言ったらもっと酷い事するって




言ってた…





その酷い事が周りに対してだったら…
美麗
美麗
違います。
そんな、小説やドラマじゃあるまいし!笑
あ、ていうか、わたし帰ります!笑
ほんと…すいませんでした!
お疲れ様です!





なんてグダグダな言い訳なんだろ。




もう少し、上手に人の追及かわせばいいのにね…





こんな下手な言い訳を残して




わたしは痛む身体を耐えながら





走って2人から離れた。





その瞬間、涙が零れ落ちた。


その涙は一向に止まらなくて…




きっと顔も酷い事になってる




その時、腕や足に痛みが走った。
美麗
美麗
痛い…



膝の擦り傷から血が出ていて





足首はねん挫をしたのか少し腫れ気味だった。




わたしはスマホを見た。



あ、もう20時…




それに

はるくんからの何件も着信と〇〇NEが。

腕のこの傷を見られるのはまずい。




味はワンピースで隠れるとして

わたしは服屋に入り、カーディガンを急遽購入して




腕を隠すかのように羽織って




急いではるくんが待つ家に向かった。

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