第84話

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2021/01/03 12:21

朝、起きると





しっかりとはるくんに抱きしめられていた。





はるくんの足がわたしに絡むように





乗っかっていて、その重みが心地よかった。





わたしの目の前には整ったはるくんの顔がある。





白くてキメの整ったキレイな肌…。





女の子だって、こんな綺麗な肌の持ち主は





そうそういない。





わたしは、軽く嫉妬しながらも





その綺麗な白い頬に触れた。
美麗
美麗
はるくん…すき


気持ちがこぼれる。






はるくんへの「好き」の気持ちは





いつもコップ満タンで。





どんなに溢れさせても、後から後から湧いてくる。




たとえ、はるくんにとって




わたしは通過点の一つだとしても…。




もし、はるくんの隣に 





居られなくなってしまったら





この気持ちも……





いつかは思い出になってしまうのかな…




こんなに、好きなのに…





わたしが勝手に一人で





寂しい気持ちになっていると





彼の頬に触れている私の手に





はるくんの手が重なった。
晴人
晴人
…俺も、好きだよ?


はるくんが目を閉じたまま呟いた。
美麗
美麗
…はるくん、起きてたの…?
晴人
晴人
… 寝てるよ…
美麗
美麗
起きてるじゃないっ笑

わたしが笑うと




はるくんがやっと眩しそうに目を開けた。
晴人
晴人
…おはよ、美麗

って言う彼はまだ眠そうだ。
美麗
美麗
おはよ、はるくん

わたしはベッドから起きあがった。
晴人
晴人
…もう起きるの?
美麗
美麗
うん、なんだか目が冴えちゃった。
ごめんね?起こしちゃって


わたしがそう言いながら






ベッドから降りようすると




はるくんもベッドから上半身を起こして





わたしを後ろから抱きしめた。
晴人
晴人
…美麗…いい香がする…

わたしのうなじに顔を埋めるようにして




はるくんが言った。




熱い吐息が首筋に当たって、




それだけでわたしの体も熱くなる。
晴人
晴人
…ねぇ…美麗
美麗
美麗
なに〜?
晴人
晴人
…なんで泣きそうになってるの?
美麗
美麗
…へ?
晴人
晴人
…泣きそうな顔してたやろ?さっき
美麗
美麗
晴人
晴人
なんかか昨日から様子変だった…
なんかあったんやろ?
美麗
美麗
…なにも…

どうしてはるくんには分かっちゃうのかな。





でも…言えるわけない。





男の人とご飯に行って、友達を傷つけて




他の男の人に結婚したいって言われて、





はるくんとの将来が見えなくて。





不安になってしまった、なんて…





言えるわけ、ない…。
晴人
晴人
…ふーん…そっか

はるくんは短くため息をつくと




わたしを抱きしめていた腕を緩めて





わたしから離れた。
晴人
晴人
俺って、そんなに頼りないの?
そんなに俺を信用してないわけ?
美麗
美麗
そんなこと…!
晴人
晴人
だったら、泣きそうな顔をしてたのはなんで?
美麗
美麗
晴人
晴人
…美麗、俺のこと好き?

その質問にならすぐに答えられる。
美麗
美麗
好き
晴人
晴人
どれくらい?
美麗
美麗
…どれくらい?…えーっ…と

わたしはどんなふうに気持ちの大きさを





例えたらいいのか、言葉に詰まってしまった。




はるくんがベッドに腰掛ける




わたしの隣に座り直して、わたしの顔を覗き込む。
晴人
晴人
俺、美麗の笑った顔が好き

わたしのほっぺたをつんつんと突いてくるから





わたしは思わず笑ってしまった。
晴人
晴人
そう、その顔が俺は好き。

可愛い…と言ってわたしに優しくキスをする





はるくんは、かっこよすぎて…






普段の可愛い要素がどこかへ行ったみたいだ。

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