第21話

電話
165
2020/11/28 15:21
あれから1週間後。




わたしは相変わらずの日々を過ごしていた。




あまり晴人さんの事は考えないようにするためか



前よりもより一層、仕事にのめり込んでいた。



そのせいか




この5日間はあの繁忙期以来の疲れが出ていた。



もう…このままじゃ




仕事が恋人になっちゃうってくらいだった。




いや、もうなってるのか?笑




家に帰ってソファーに寝転がり



ウトウトしていると、




わたしのスマホが鳴った。
美麗
美麗
んー…誰よ…
わたしは少しイライラしながら



スマホを手探りで探して




〇〇NEの電話の相手を見た途端
美麗
美麗
あ!!!
ガバッと起きあがり、電話に出た。
晴人
晴人
もしもしっ!美麗ちゃん?
美麗
美麗
あ…こんばんわ。
…先日はどうもありがとうございました。
晴人
晴人
いや、いいんです!
今時間大丈夫っすか?
美麗
美麗
あ、今家に帰ってきた所なんです。
大丈夫ですよ。
…んで…どういった用件ですか?
晴人
晴人
…あ、…えっと…
電話越しでも



晴人さんがなんだか



ソワソワしてるのが伝わってくる。



だからわたしまで



ソワソワした気分になってしまった。
晴人
晴人
美麗ちゃん…
今度いつ時間あります?ご飯誘いたいんですが…。
ドキッ、と大きく心臓が音を立てる。




あれは、社交辞令じゃなかったんだ…。
美麗
美麗
わたしはいつでも大丈夫ですよ?
平日はお仕事があるから…
夜か休日なら空いてます。
晴人
晴人
ほんとに?
俺、明日は6日ぶりの休みなんです!
明日はどうですか?!
やはり有名なバンドやYouTuberとなると



毎日忙しのね。



そんな貴重な休みを


わたしなんかに使っていいのだろうか…。



と思いつつ
美麗
美麗
は、はい。
大丈夫です。
晴人
晴人
よかったぁ〜!なんか…緊張しちゃって…笑
緊張?


わたしに?
美麗
美麗
笑笑…どうしてわたしなんかに?笑
晴人
晴人
…嘘だって思ってます?
美麗
美麗
…少し
晴人
晴人
嘘なんかじゃないです!
すっげー勇気出して電話したんですよ?!
焦ってる、焦ってる。笑



晴人さんってやっぱり可愛い笑





だけど、わたしはやはりどこかで




〇フレがいるかもしれない



という事へのひっかかりがずっとあった。  



だって…あまりいいイメージなんてないもん



美麗
美麗
…あなたの周りには…
若くて可愛い子が尽きないでしょ?笑
…それをわたしみたいな平凡なOLに緊張だなんて…笑笑
晴人
晴人
…なんすかそれ…
若けりゃあいいってもんじゃないっすよ!
それに…!
晴人さんが急に黙り込んだ。
美麗
美麗
…晴…人さん…?
晴人
晴人
…美麗ちゃんは…俺にとって
可愛くて、綺麗な人だって!…
そう思ってるんです!
美麗
美麗
……え…
晴人
晴人
あー!俺、何言ってんだよ!
電話の向こうで晴人さんが照れている。



わたしの顔もなんだか熱くなってしまった。



嬉しい。



なんて事思っちゃいけない



間に受けちゃダメだ。



だけど、そんなふうに言って貰えて



嬉しくない女の人はいるだろうか。
美麗
美麗
あの…晴人さん
晴人
晴人
は、はい。
美麗
美麗
…ありがとうございます。
可愛くて綺麗だなんて言われたの初めてです。
晴人
晴人
…嘘でしょ…?信じられないっすよ。
だって、絶対モテるじゃないっすか!
だって、本当に初めてだった。




中学から大学まで女子校育ちで



あまり男の人と関わらない人生だったし





佐伯さんと付き合ってた時も




こんな風に面と向かって(電話だけど)




言って貰ったことってなかった。
美麗
美麗
モテてたら、いつでも暇だなんて言いませんよ…笑
その日の電話は



とても話が弾んで



気付けば1時間くらい喋っていた。
晴人
晴人
すいません…。
長電話に付き合わせてしまって…。
美麗
美麗
いいえ
じゃ、明日楽しみにしてます
晴人
晴人
俺もです。
ドキッとまた心臓が鳴った。
電話が切れた後も



なぜだかしばらくスマホを耳に押し当てたまま



動けずにいた。

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