第27話

存在
158
2020/12/01 13:06
2人で一息ついて


のんびりしていた。


夢でも見てるんじゃないかと思うくらい



自分自身信じられない。
晴人
晴人
美麗ちゃん
美麗
美麗
はい。
晴人
晴人
俺…美麗ちゃんに言っておかないといけない事があるんです。
あ…ひょっとして…
美麗
美麗
あ…あの、バンド…youtube…なんですよね?
晴人
晴人
え?!…知ってたんですか?
美麗
美麗
は、…はい
驚いた表情をする晴人さん。
晴人
晴人
え、…いつから?
美麗
美麗
…初めて…一緒にお食事に行った時には…
会社の女の子から…
晴人
晴人
そ、…そっか…
美麗
美麗
…ごめんなさい…
ちょっと…なんと言うか…言い出しずらくて…
晴人
晴人
言えなくて当たり前ですよ!
俺の方こそ…ずっと言えなくて…
…けど、…よかったです!
美麗
美麗
へっ?
晴人
晴人
仕事柄を分かった上で…
俺を好きになってくれたんだって…
知れたから
ほっぺを赤くしながら優しい笑顔でそう言った。



その表情が、愛しさを込み上げてくれる。
晴人
晴人
…ほんとにありがとう。
美麗ちゃん大好き
晴人さんの顔が近いてきた。



え、…またキ、キス?!




そう思ったわたしはとっさに目をぎゅっとつぶった。



すると
晴人
晴人
ふふふ笑笑



チュッ



笑い声が聞こえたかと思えば



わたしの頬っぺたにキスをした。




イタズラのような笑みをする晴人さん。




わたしは、なんだか拍子抜けして





わたしも晴人さんも笑っていた。




晴人
晴人
あ、そうそう
美麗
美麗
晴人
晴人
あの、敬語抜いていいっすか?
って言っても所々
タメで喋っちゃってましたけど笑
美麗
美麗
え…あぁ笑
それは全然!
晴人
晴人
俺たち付き合ったんだし
美麗ちゃんも敬語やめましょ笑
美麗
美麗
…うん、そう……ね笑
晴人
晴人
あとさ…美麗ちゃんのこと、
美麗って…呼んでいい…?笑
どんどん提案してくる晴人さん。




わたし、自分が思っているよりも




晴人さんに想われてるって自惚れてもいいのかな。
美麗
美麗
なんでも大丈夫笑
晴人
晴人
だから、美麗も!
美麗
美麗
え?
晴人
晴人
俺の事はるって呼び捨てで呼んでよ
美麗
美麗
…え?!いや、でも
晴人
晴人
でもじゃないよ!
俺だけ呼び捨てで呼ぶとかおかしいやろ?
美麗
美麗
そ、…そうだけど…笑
あ、…笑
いきなりだとあれだから…笑
晴人
晴人
あれって?
美麗
美麗
…じゃ、…くんづけは?
晴人
晴人
んー…まぁ、いっか笑
呼んでみて!
美麗
美麗
…はるくん
晴人
晴人
もう一回呼んで?
美麗
美麗
はるくん
慣れない呼び方で



なんだがくすぐったい感じがするけど



「はるくん」って呼んだら



彼はすごく満足そうな顔になった。



ほわわわ~とした空気が



二人の間に流れている…というのは




わたしでも察することが出来る。




でも…



でも!!



晴人さんが体をわたしの方に向けて



わたしの肩にそっと手を置いた。
美麗
美麗
晴人さ…
晴人
晴人
その呼び方はダメ
そう言って


はるくんがぐっと顔を近づけてきた。
美麗
美麗
は、るくんあの…ちょっと近くないですか…?
晴人
晴人
敬語もダメ
すると軽く、全く痛くない程度に




はるくんがおでこをコツンとくっつけてきた。


はるくんの顔がすぐ近くにあって




ドキドキしてめまいがしてしまいそうになる



だけどそれと同時に幸せな気持ちも溢れていた。



どちらともなく笑いあって





はるくんの唇が、わたしの唇に触れた。




きっと触れていた時間は




数秒だったんだろうけど




わたしには時間が止まったみたいに長く感じた。




背中に感じるはるくん手のひらの感触。




わたしは今、はるくんに抱きしめられている。




遠かった彼の存在が



ほんの少しだけど近くに感じられた気がした。

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