昼過ぎ、起きたら
美麗ちゃんから〇〇NEの返信が来ていた。
とりあえず、避けられてたのではなさそう。
よかったぁ…。
ふと、美麗ちゃんの笑顔を思い出した。
美麗ちゃんが…本気で大好きだから
本気で大切にしたいから…
いい加減な気持ちで
キスしようとしたわけじゃない
抱きしめたわけじゃない
って事。
美麗ちゃんにちゃんと会って
自分の今のこの気持ちを伝えよう。
その夜
美麗ちゃんから〇〇NEでメッセージが来たのは
18時過ぎだった。
ザ・OLな文章に
美麗ちゃんの誠実な人柄が見え隠れする。
こういうところも実は好きだったりする。
俺は、美麗ちゃんに電話をかけた。
美麗ちゃんが本当に申し訳なさそうに謝った。
電話の向こうで美麗ちゃんが
だいぶ悩んでるのが分かった。
俺は、美麗ちゃんから
半ば無理やり場所を聞き出して
急いで車に飛び乗った。
美麗ちゃんに会いたい。
高ぶる気持ちを抑えながら、ハンドルを切った。
夜のオフィス街でも、割と人通りは多かったけど
反対車線の歩道に美麗ちゃんの姿を見つけた。
遠目にでも、飛び込むように視界に入った彼女。
美麗ちゃんを見る度に、恋に落ちる。
そんな感覚。
やっぱり、俺…美麗ちゃんが好き…。
俺はUターンをして、
彼女を少し追い越してから
車を路肩に止めて電話をした。
ヤバ…緊張してきた…。
スマホを持つ手が震えてしまった。
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美麗ちゃんが遠慮がちに助手席に座った。
俺は、助手席のドアを閉めて
運転席に乗った。
手を伸ばせば
すぐ触れられる距離に美麗ちゃんがいる
それが嬉しくて。
…切なくて。
俺が焦って言うと
美麗ちゃんがやっと笑ってくれた
俺の好きな美麗ちゃんの笑顔。
俺の方を向いて、にっこり微笑む彼女に
手を出さなかった自分の理性を全力で褒めたい。
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美麗ちゃんが俺の部屋で立ってる。
俺は「こっち、座ってください」と彼女の手を引いて
ソファに座らせた。
冷蔵庫からお茶を出してコップに入れて
美麗ちゃんの前に出すと
「ありがとうございます」と
可愛く笑って受け取ってくれた。
俺は美麗ちゃんの隣に座った。
…さて、何から話そうか…。
俺の言葉に彼女が笑った。
俺は美麗ちゃんの手を
自分の両手で包み込んだ。
俺は、美麗ちゃんの手をギュッっと握った。
俺の気持ちが伝わるように。
美麗ちゃんが俯いたままそう呟いた。
美麗ちゃんの中で
それがずっと心に引っかかっていたのか…。
当たり前だよな…。
なのに俺…
自分が好きだからって先走って告白して…
何やってんだよ…。
自分自身の不甲斐なさに後悔していると
え?
今美麗ちゃん、なんて言った?
俺のこと、好きって?
…ほんとに?
俺は美麗ちゃんの顔を両手で挟んで
上を向かせた。
その拍子にポロっと涙の粒が落ちた。
フフッって笑いながら美麗ちゃんにそう言うと
それを合図にしたかのように
ポロポロ涙がこぼれ出した。
でも、俺の目を真っ直ぐ見て
美麗ちゃんが、そう言った
夢なんかじゃない…。
俺は美麗ちゃんを強く抱きしめた。
遠慮がちに俺の背中に回される美麗ちゃんの腕。
俺の腕の中の美麗ちゃんは
顔をぴったり俺の胸にくっつけて甘えてきた。
俺は自分から美麗ちゃんの体をそっと離すと
指で涙を拭った。
1度止まったはずの涙が
またボロボロとこぼれ出す。
拭いても拭いてもきりがない
美麗ちゃんの泣いた顔も可愛いくて、綺麗だよ?
だけど、やっぱり笑顔のほうが好き。
俺がそう聞くと美麗ちゃんがゆっくり目を閉じた
俺はそのまま顔を近づけた
俺と美麗ちゃんは恋人同士のキスをした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。