第26話

告白
175
2020/12/01 08:57
昼過ぎ、起きたら



美麗ちゃんから〇〇NEの返信が来ていた。
mirei
mirei
返信が遅れてすみません!
今日仕事が終わったらまた連絡します!
とりあえず、避けられてたのではなさそう。


よかったぁ…。



ふと、美麗ちゃんの笑顔を思い出した。




美麗ちゃんが…本気で大好きだから



本気で大切にしたいから…



いい加減な気持ちで



キスしようとしたわけじゃない



抱きしめたわけじゃない



って事。




美麗ちゃんにちゃんと会って





自分の今のこの気持ちを伝えよう。



その夜



美麗ちゃんから〇〇NEでメッセージが来たのは




18時過ぎだった。


mirei
mirei
お疲れ様です。
今会社を出ました。
お電話しても大丈夫な時間があったら教えて下さい。

ザ・OLな文章に




美麗ちゃんの誠実な人柄が見え隠れする。




こういうところも実は好きだったりする。




俺は、美麗ちゃんに電話をかけた。
美麗
美麗
…はい
晴人
晴人
…美麗ちゃん…?
美麗
美麗
はい…すみません。
昨日〇〇NEに気づかなくて…
美麗ちゃんが本当に申し訳なさそうに謝った。
晴人
晴人
いいんです、それは
それより…お話あります。…今日、平気っすか?
美麗
美麗
今日…これからですか…?
晴人
晴人
はい…ダメ、ですか?
電話の向こうで美麗ちゃんが




だいぶ悩んでるのが分かった。
美麗
美麗
…分かりました。どこに行けばいいですか?
晴人
晴人
美麗ちゃん、今どこに居ます?
美麗
美麗
えっと…まだ会社の近くで…
晴人
晴人
場所、教えて下さい
迎えに行きます
俺は、美麗ちゃんから



半ば無理やり場所を聞き出して



急いで車に飛び乗った。





美麗ちゃんに会いたい。




高ぶる気持ちを抑えながら、ハンドルを切った。



夜のオフィス街でも、割と人通りは多かったけど




反対車線の歩道に美麗ちゃんの姿を見つけた。



遠目にでも、飛び込むように視界に入った彼女。




美麗ちゃんを見る度に、恋に落ちる。




そんな感覚。




やっぱり、俺…美麗ちゃんが好き…。



俺はUターンをして、




彼女を少し追い越してから




車を路肩に止めて電話をした。





ヤバ…緊張してきた…。 




スマホを持つ手が震えてしまった。
晴人
晴人
もしもし
今歩いてるところの先にいる黒い車、分かります?
美麗
美麗
えーっと…あ!はい!
晴人
晴人
助手席、乗って下さい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
美麗
美麗
すみません。
お邪魔します。
美麗ちゃんが遠慮がちに助手席に座った。



俺は、助手席のドアを閉めて



運転席に乗った。



手を伸ばせば



すぐ触れられる距離に美麗ちゃんがいる




それが嬉しくて。




…切なくて。
晴人
晴人
俺の家でいいっすか?
美麗
美麗
…へ?!
晴人
晴人
ダメ?お店だと落ち着かないんすよ…。
あ!なにもしないですよ!!
俺が焦って言うと



美麗ちゃんがやっと笑ってくれた




俺の好きな美麗ちゃんの笑顔。
美麗
美麗
それじゃあ…お言葉に甘えて。笑
俺の方を向いて、にっこり微笑む彼女に


手を出さなかった自分の理性を全力で褒めたい。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





美麗ちゃんが俺の部屋で立ってる。




俺は「こっち、座ってください」と彼女の手を引いて



ソファに座らせた。


冷蔵庫からお茶を出してコップに入れて




美麗ちゃんの前に出すと



「ありがとうございます」と




可愛く笑って受け取ってくれた。




俺は美麗ちゃんの隣に座った。


…さて、何から話そうか…。
晴人
晴人
美麗ちゃん…
美麗
美麗
はい… 、
晴人
晴人
俺…、おかしいんです
美麗
美麗
…?
晴人
晴人
美麗ちゃんと出会ってから
美麗
美麗
………
晴人
晴人
気がつけば…美麗ちゃんのことばっか考えてますし…
さっきも迎えにに行った時
遠くからでも美麗ちゃんだけが
俺の目にすぐ入ってきたんです。
美麗
美麗
…笑
俺の言葉に彼女が笑った。
晴人
晴人
本当ですよ?
…信じられないっすか?
俺は美麗ちゃんの手を



自分の両手で包み込んだ。
晴人
晴人
つまり…その…俺は、美麗ちゃんのこと…!

俺は、美麗ちゃんの手をギュッっと握った。



俺の気持ちが伝わるように。
晴人
晴人
好きです
美麗
美麗
…、、に?
晴人
晴人
え?
美麗
美麗
ほ…ほんとですか…?
美麗ちゃんが俯いたままそう呟いた。
美麗
美麗
だ…だけど…その…
晴人
晴人
?ん?
美麗
美麗
えっと…居酒屋で会った…
晴人
晴人
あ、あぁ…
1番初めにご飯に行った時ほっぺに跡があったでしょ?
美麗
美麗
…あ!は、はい!
晴人
晴人
もう会わない、…関係をやめようって言ったら
思いっきり叩かれました。
美麗
美麗
…。
美麗ちゃんの中で



それがずっと心に引っかかっていたのか…。



当たり前だよな…。



なのに俺…




自分が好きだからって先走って告白して…



何やってんだよ…。




自分自身の不甲斐なさに後悔していると
美麗
美麗
…って事は… わたし
晴人さんを…好きでいていいの…?
え?



今美麗ちゃん、なんて言った?



俺のこと、好きって?


…ほんとに?
美麗
美麗
わたし…ごく普通のOLよ、、?
晴人
晴人
はい
美麗
美麗
29歳だし…
晴人
晴人
知ってます
美麗
美麗
もう若くないし…キレイじゃないし、
取り柄もないし、スタイルだって…
晴人
晴人
もう黙って
俺は美麗ちゃんの顔を両手で挟んで




上を向かせた。



その拍子にポロっと涙の粒が落ちた。
晴人
晴人
…泣き虫
フフッって笑いながら美麗ちゃんにそう言うと



それを合図にしたかのように



ポロポロ涙がこぼれ出した。



でも、俺の目を真っ直ぐ見て
美麗
美麗
…晴人さんが、好き
美麗ちゃんが、そう言った



夢なんかじゃない…。
晴人
晴人
もう一回
美麗
美麗
晴人さんが…好き
晴人
晴人
…もう一回
美麗
美麗
…好き
晴人
晴人
…誰の事が?
美麗
美麗
…晴人さんのことが、だいす、っ…
俺は美麗ちゃんを強く抱きしめた。



遠慮がちに俺の背中に回される美麗ちゃんの腕。



俺の腕の中の美麗ちゃんは



顔をぴったり俺の胸にくっつけて甘えてきた。




俺は自分から美麗ちゃんの体をそっと離すと



指で涙を拭った。
晴人
晴人
美麗ちゃん…
美麗
美麗
…はい
晴人
晴人
改めてもう一度言いますね


俺は美麗ちゃんが大好きです
俺でよければ、付き合って下さい。
美麗
美麗
…っ
晴人
晴人
…返事は?
美麗
美麗
…はい…

1度止まったはずの涙が



またボロボロとこぼれ出す。
晴人
晴人
もー…俺が悪いことして
泣かしてるみたいじゃないっすか笑
拭いても拭いてもきりがない




美麗ちゃんの泣いた顔も可愛いくて、綺麗だよ?




だけど、やっぱり笑顔のほうが好き。
晴人
晴人
美麗ちゃん…
美麗
美麗
…はい
晴人
晴人
キス…してもいい…?


俺がそう聞くと美麗ちゃんがゆっくり目を閉じた




俺はそのまま顔を近づけた




俺と美麗ちゃんは恋人同士のキスをした。

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