服は酷く、汚れていて
手や足や顔には擦り傷がたくさんあり
酷い怪我をしていた。
な、にこれ…
足を痛めたようだった。
見ると、少し足首が捻挫しているようだった。
そんな冗談を言って
わたしの質問から逃れようとする麗奈。
突き飛ばされた?
そんなの、一歩間違ったら怪我じゃ済まない…
もしかしたら、死んでたかもしれない…
そう言って、わたしの頭を
優しくなでてくれる麗奈。
自分がこんなに酷い目にあってるのに…
わたしの事を気にかけて、笑いかける
本当に大人だ。
タクシーで麗奈の家に到着した。
麗奈をソファーまで連れて行って
わたしは鍵を借りてドアの鍵を閉めた。
だけど…蓮くん麗奈のあの姿を見たら
めちゃくちゃびっくりするんじゃ…
元のわたしの家で蓮くんを引き取った方が
いいかもしれない。
わたしは保育園に到着して
先生には、代わりに迎えに来た事を伝えた。
蓮くんは笑顔で走ってきて
わたしに、抱きついてきてくれた。
わたしは蓮くんから離れて
立ち上がって手を繋いで歩き出した。
わたしはしゃがんで
蓮くんと同じ目線くらいで話した。
この、体調を崩したというのも
あまり言いたくはなかったが
麗奈のあの姿を蓮くんに見せない為には
そう言うしかなかった。
蓮くんが無理して雰囲気を明るくしようと
してるのか、笑顔でそう聞いて来た。
勝手にどんどん事を進めちゃってるけど…
帰ったら麗奈には言おう。
とにかくわたしは、麗奈の家に向かった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。