走ってきたからなのか
汗をかいたはるくんに近寄って
わたしは、ハンカチで汗を拭いてた。
無抵抗でわたしに汗を拭かれているはるくんは
まるで子供のようだ。笑
口が裂けても言わないけどね。笑
空気がちょっと良くなった所で
いきなり松村さんが喋り出した
さっきはダンマリだったのに…。
でも憎めないのは、やっぱり人柄だなぁ
わたしは苦笑いしながら、はるくん座らせた
はるくんが座ると
なにやら、田口さんと松村さんが
ニヤニヤしながらはるくんを見ていた。
うそ…ほんとに?
初めてっていう田口さんの言葉に
わたしは嬉しいと思ってしまった。
はるくんは、松村さんと2人でおしゃべりしながら
盛り上がっていた。
田口さんが不意にわたしの名前を呼んだ
田口さんがリラックスした笑顔を
わたしに向けながら言った。
わたしと田口さんは、
酔ってご機嫌のはるくんと
松村さんに視線を移した。
わたしと出会う前の
はるくんがどんな感じだったのか
知るはずもないけど
ずっとそばにいた田口さんがそう言うんだから
それはほんとの事なんだろうなって思う
わたしが…少しでも
はるくんの癒しになれているなら…。
それはとても嬉しいことだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!