夢みたいだった。
はるくんがわたしの家に来て
わたしの作ったご飯を
「美味しい」って食べてくれた。
わたしのことを「美麗」って…呼んでくれて。
いっぱいいっぱいキスをした。
一緒のベッドで眠って…。
あまりにも幸せだったから
はるくんが帰る時、
ものすごく不安になっちゃって…
玄関で靴を履く彼の服の裾を
キュッと掴んでしまった。
一緒にいたいって
どんどん欲張りになってしまう。
そんなわたしを見て
はるくんは大きな手でわたしの頭を撫でてくれた。
わたしは曇った顔でそう言ってしまった。
はるくんは困った顔をして笑った。
わたしは無理矢理笑顔を作って、彼を見た。
はるくんも、少しでも
わたしと同じ気持ちでいてくれてるのかな?
わたしの頭を優しく撫でていた手のひらが
わたしの頬に降りてくる。
そのまま優しく耳朶を触って来るから
くすぐったくって首をすくめた。
はるくんがわたしの腰に腕を回して
わたしを引き寄せた。
そのまま優しく唇が重なって
わたしは何故だか涙が出そうになった。
長いキスのあと
はるくんはわたしのおでこに
自分のおでこをくっ付けて
わたしの顔をのぞきこんで言った。
はるくんの言葉は
わたしの不安な気持ちを少し和らげてくれた。
今度は無理矢理じゃない
ほんとの笑顔ではるくんに言うと
はるくんは急に真顔になった。
そう言ってまた唇が近づいてくる。
1回って言ったのに
なかなか止まないキスの雨。
あぁ…もう…
本当にまいっちゃう。
キリがないよ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。