第59話

どうして人は…
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2020/12/13 14:20
藍
みーちゃん
美麗
美麗
あ…伊吹さん…



いつものように会社の廊下を歩いていると







伊吹さんとすれ違い、わたしに話しかけた。






すると、伊吹さんは






昨日、篠崎さんに叩かれた方のほっぺたに





優しくそっと手を添えてきた。

藍
ほっぺた…なんか腫れてない…?
美麗
美麗
…っ、!

この人に…何でも見透かされているのか





朝、自分でも鏡を見て分からないように





したはず。




それを伊吹さんはあっさり気づかれた。
藍
それに…目も…
彼氏と…なんかあったの?
美麗
美麗
違います!
あの人は…関係ありませんから…!

わたしは急いで後ろに下がって




また歩き出した。
藍
……

あーもー!泣くな泣くな泣くな!!




そうは思っても




昨日の篠崎さんに言われた言葉が





どうしても頭から離れなかった





なにもあそこまで言わなくたっていいのに





朝も、はるくんから何件か




〇〇NEが来ていた





だけど…なんとなく





返すにも気持ちがブルーになっちゃって…





まだ返せていなかった。





昨日、はるくんとあんなに分かち合えて





話ができた所だったのに





ダメだ…涙が…




自分のあまりの弱さに





このまま本当にはるくんと一緒にいて




負担になって、迷惑かけてしまうんじゃないか…






そんな思いが込み上げてしまった。






どうして人は…





大事な人の言葉よりも






第三者の言葉をすんなり信じて





うじうじ気にしてしまうのだろうか…。



晴人
晴人
…未読…か…


どうして人は…こんなにもすぐに




不安に襲われて





自信を失ってしまうのだろう。





いや、人は…じゃない




これは全部わたし自身だ。





自分でもほんとに面倒臭いと思う。
美麗
美麗
もう…やだ…

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