深夜二時。
なぜだがふっと目が覚めた。
なんだか気配を感じて布団から起き上がる。
ぎし、と階段が軋む音がした。
誰かが降りてきた…?
こんな時間に…?!
深夜二時に開かずの間に入ろうとするなんて相当の物好きとしか思えない。
それか…
ぎし、ぎし。
階段の軋む音が大きくなる。
怖くなって布団を頭から被って寝たフリをする。
ほんとに幽霊じゃないよね…?!
今声が聞こえた…!
答えたらだめだ!
あの世に連れてかれる!
ぎゅっと固く目と口をとじる。
ひぇえええ…
韓国の幽霊って韓国語なんだ…!
何言ってるか分からないから尚更怖いよ!!
とにかく!返事はしないようにしないと!
ぇええええなんで名前知ってるの?!
幽霊に名前知られてたら私もう終わりなんじゃ
冥土の国までイッテQ!しちゃうんじゃ…
死のう死のうとは思ってるけど
こんな死に方は嫌だぁああああああ
……聞いた事あるな
どこで聞いたんだっけ
最近聞いた気がするんだけど……
あ!お昼の人だ!
……すごいカタコトな日本語
頑張って伝えてくれてるんだな……
そうか……バーノンさんが鍵拾ったんだ
良かった……知らない人じゃなくて……
爽やかな笑顔で部屋を出ていくバーノンさん。
ありがたいんだけど……こんな時間に来なくても……
まぁ……この時間じゃないと誰かに見られるかもだからそんな言えないけど。
とにかく幽霊じゃなくてよかった……。
ゆっくりと音が出ないように階段を登る。
扉に耳をくっつけ外に人がいないか音で確認する。
どうやらいなさそうだ。
ゆっくりと鍵をまわしてちゃんとロックする。
ガチャガチャガチャガチャガチャ!
鍵をしめた瞬間に思いっきりドアノブを捻られて
思わず声が出そうになった。
慌てて口を手で抑える。
なんで……、誰……?!
スタスタと去っていく足音がする。
あと数秒鍵を閉めるのが遅かったら
鉢合わせてた……
危なかった……
それにしても……
こんな夜中に一体だれが……
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。