その日から高橋くんはよく話しかけてくれるよ
うになった。高橋くんのおかげで、人並みに友
達もでき、普通に充実した毎日を過すごでき
た。気がついたらもう1月も終わるころ。
小学生のときは毎日ユキオのことを考えていた
のに、最近はユキオのこと考えなくなってい
た。申しわけない気持ちこみ上げてきて、なん
だか寂しい気持ちにもなった。
放課後の教室で1人
ユキオ…
そう、つぶやいた。
「ユキオ?」
後ろを振り向くと高橋くんがいた。なんとなく恥ずかしなって
「なんでもないよ」
と、素っ気ない返事をした。すると高橋くんは
「ふーん。てかさ、お前って好きな人とかいるの?」
好きな人?
1番に思いついたのはやっぱりユキオだった。
だけどそれが恋なのかわからなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。