あの日から私たちは雪が降るとその公園に集ま
りベンチに座るといろいろな話をした。家族で
遊びに行ったことや今日見た夢の話、学校の先
生の愚痴なども話した。
だんだん暖かくなって春の風が吹く。
当分雪は振らないだろう。つまりユキオとも当
分会うことはないということだ。
2年生になった。
私は毎日ユキオのことを考えていた。
はじめての友達。
もしかしたらもう会えないかもしれない。
不安な気持ちが私を襲う。
そんなことを考えているうちに街の風が冷たく
なってきた。しかしユキオのことばかりでクラ
スの友達を作ることも忘れていた。
私の心は限界だった。
1人になりたくないよ…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!