廊下での戦いから一夜明けて
仮面に対する…というよりは、
教師全員に対する生徒の態度が変わった。
リョータの豹変っぷりが
その恐怖を植え付けたんだろうけど…
荒木に言うか…
おそらくアイツが…仮面ティーチャー…だから。
⚠︎あなたside
学校の廊下を歩いて、金ちゃんの姿を探す。
かれこれ五分ほど歩き回ってるけど
いっこうに姿が見えない。
金ちゃんが見つからずにふてくさていると
向かいの階段から声がかかった。
すらっと背の高い男。
私の耳を擽るような甘い声。
皮肉をたっぷり込めて返す。
草薙のいる階段を上がっていって
真横を通ったときだった。
階段の踊り場の壁に突然からだを押し当てられた。
私がそう聞いても口を開かない草薙。
私の足の間に軽く自分の足を割り込ませると
両手を上で組まされて押さえつけられた。
私の顎をつかんで無理矢理目を合わせられた。
私の言葉でやっと手を解放した草薙。
不適な笑みを残して校舎内を歩いていった。
階段の下から声がかかって
振り向いた先にはずっと探してた金ちゃんの姿。
走って駆け寄ると、腰に腕を回されて
溜まり場の方へと連れて行かれた。
⚠︎金造side
あなたの腰に手を回して、
俺たちは溜まり場に来ていた。
俺がソファに座れば
俺の膝の上をまたぐように座るあなた。
あなたが俯いていたから
顎をつかんで無理矢理、俺の方を向かせた。
言ってない
呟くように言ったあなた。
涙目になったあなたの目尻にたまった涙を
顎をつかんでいた手で拭ってやった。
すると、俺の胸元に体を預けるあなた。
呟いて返すと、唇に何かが触れた。
目の前にある端正な顔が
俺に何をしているかはすぐにわかる。
唇が離れるとあなたが口を開いた。
金ちゃんとお兄ちゃんだと
元気が出るおまじないなの……
妖しく呟いたあなたは
また、俺の胸元に体を預けた。
⚠︎ボンside
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!