仮面をかぶった男が
私に向かって言葉を放った。
仮面の言うとおりギャラリーの方に下がる。
コータローとそんなことを話していると
仮面がスタンガンを弾き飛ばした。
その瞬間、icemanの表情が一変する。
あの、冷血な鉄仮面が
初めて表情を変えた。
それも、ひどく怯えた顔に…
奇声を上げたリョータが
隠していた小型のスタンガンを仮面の首もとに押し当てる。
大量の電流を浴びた仮面を
リョータは一階へと突き落とした。
リョータはよろけながらどこかへ歩いていく。
私は上から仮面をみるとコータローが
一階にいって仮面の前に立っていた。
そっと、仮面に手をさしのべるコータロー。
その手を握った仮面をコータローは
力強く立たせた。
それだけ言って歩いていくコータロー。
コータローが大きく変わっているのが
目に見えた瞬間だった。
.
.
突然腰に回った手。
振り返った先にいたのは…
お兄ちゃんに腕を捕まれて
溜まり場の方へと歩いていく。
一階にいる仮面の横を通っても
お兄ちゃんは目もやらなかった。
私がそう言うと隣に座ったお兄ちゃんが
そうだねぇ。
怒ったら、怖いもんねぇ。
と、人事のように言った。
今は私とお兄ちゃんしかいない溜まり場は妙に静かで…
外気のはいるこの部屋は
iceのようにつめたく感じた。
⚠︎ボンside
朝学校に来たとき、
怯えながら歩くリョータが目にとまる。
その傷は仮面ティーチャーにやられたものだろうけど
リョータは行き交う人全員に怯えてた。
真顔で言うあなたは
金ちゃんに教えてくる
とだけ言って校舎を歩いていった。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!