第243話

ゴンドラの中で⑥
1,135
2020/08/14 07:52
線が切れて、2人が乗ったゴンドラがみるみるうちに下へ落ちていく。俺は固まって動けなかった。
ジョングク
ジョングク
…っくそ!
ジョングクさんが落ちていたパイプのようなものを拾って、ケーブルが巻いてある器具に差し込む。ギリギリのところで止まったそれにため息をついた。
ジョンハン
ジョンハン
【大丈夫!?】
チェ・ユユン
チェ・ユユン
【っああ、何とか…スングァンは叩きつけられた表紙に額が切れたっぽいけど、、】
スングァン
スングァン
【僕も大丈夫です、、ちょっと痛いんで治癒したいんですけど…降りられますか?】
2人がいるのは上空40メートル程の位置だ。ディノは他の任務に着いているので、瞬間移動も使えない。
ジミン
ジミン
【どうやってゴンドラが落ちるの止めたの?】
ジョングク
ジョングク
【即席ブレーキです。だけど、ケーブルが15秒ごとに5センチ動いてて、ケーブルは残り4.5メートルしかないです。】
ジミン
ジミン
【ってことは___あと、22分30秒でケーブルが外れてゴンドラは落ちる、、】
天才2人の素早い計算に、俺は固まった。つまり、スングァンとユユンさんの命はあと20分しかのこってないってことだ。
あなた

【最も高いはしごでも30メートルだそうだ。救助ヘリは出払ってて、クレーンでは時間が無くて無理だ。】

ジョンハン
ジョンハン
そんな、、
出てきた案は全て不可能で、俺たちは頭を抱えた。能力者だからって万能なわけじゃない。それを、実感した瞬間だった。

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