第5話

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2023/02/03 14:27
…………………え?




ブーーーーーーーーッ!!!!!



綺麗に弧を描いて水が宙を舞った。なんなら虹も見えた気がする。気のせいか。


顔を真っ赤にして後ずさる私を見て、狗巻君は馬鹿にしたようにプッと一息笑う。


息も絶え絶えな私に対して、綺麗な長い指を狗巻君は自身の口にトントン、と当てた。見ろ、という事だろうか。
その仕草でさえ色っぽくみえちゃったのはここだけの話。


う・そ・だ・よ




確かに、彼の口はそう動いたように見えた。





私
っ、いや嘘なんかい!!!
思わず立ち上がって大声を出す。




狗巻棘
狗巻棘
いくら〜
狗巻君はニヤケ顔のまま、両手を顔の前で合わせる。ごめんね~みたいな感じだろうか。可愛いなオイ。(ちょろい)
私
乙女の心を弄ぶな!!
それだけを吐き捨てて、狗巻君から顔を背け座り直す。
するとまたつん、とつつかれた。
狗巻棘
狗巻棘
【そっちだって、さっき俺の顔ずっと見てたじゃん。えっち】
私
!なっ…!!
狗巻君は満足気に口角を上げる。



頭に血が上って、恥ずかしくて熱くて死にそうになった。

見てたけども。確かに見てたけれども。
え、え、えっち、なんてそんなイケボで言うんじゃないよほんとに。私みたいなのだと軽率に死ぬから。ほんとに。


てかずっと見てるの知ってたんかい。早めに言ってよもうちょっと。


顔を見られたくなかったので、組んだ足に顔を埋めて目を閉じた。
ニヤニヤと、私をからかって楽しんでいる狗巻君の顔が目に浮かぶ。



ほんとに悪ノリがすぎます、狗巻君。

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