私は知らない所で意味不明に眠っていた。
起き上がるとそこは薄暗い。ただ何処かには光がありそうなそんな場所だった。
私は不安になって、何もない薄暗い所に向かい聞いてみた。勿論、誰も居ないので誰からも返事は帰ってこない。
私は監禁か何かでもされたのだろうか。
私の中には更に不安が募る
私は精一杯の声で誰かに声かけた。
誰かいるかさえ、分からないこんな所で。
私は次第に自分が馬鹿らしく思えたので
叫ぶのは辞め、座り込んでしまった。
その床らしき黒は冷たかった。
私は死んでしまったのだろうか。
そう考えてしまうくらい。
冷たかった。ここの世界みたいに。
私はすることもやることも失ってしまったので、色々考え事をしていた。
けれど、考えるのはこの世界のことだけだった。
ここは何なのか。そのネタで私の頭の中は精一杯だった。
―何か、忘れている気がする―
ふと、そんな気がした。気のせいと思い、
そのことから目を背けた。
驚いて顔をあげるとそこには、笑顔で優しそうな人がこちらを覗き込むように見てきた。
私はこの人しか頼る人が居なかった。
一人では何もかも分からないのでやっていけない。
そう思った。
私はその対応が嬉しかった。
この人は信じていいと思った。
その人が笑顔で手を差し伸べてきてくれた。
私は小声でそんな言葉を口にした。
私はこの人の格好が郵便配達員の人に似ていたので、郵便配達員さんと呼ぶことにした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。