第6話

#.4 " 私 "
10,606
2022/06/29 12:00





スマホの共有フォルダにある、
「 Untitled 」をタップした。


眩しい光に包まれる感覚は、何度やっても慣れないや
















《 誰もいないセカイ 》





やっぱりここは静かで何も無くて、…それでいて
とても落ち着く場所だ。









初 音 ミ ク
いらっしゃい、あなた
あなた
ミク…
初 音 ミ ク
…今日は、ひとり?
あなた
うん、…学校行く前にちょっと休みたいなって
初 音 ミ ク


冷たくもなく暖かくもない地面に仰向けになったら、
ミクがそのグレーの髪を揺らしながら傍に座った。

あなた
えっと、…ミク?
初 音 ミ ク
ひとりの方が、いい?



こてんと首を傾げて、そう聞いてきたミク。



別に特別ひとりになりたいって訳じゃないし、
ミクは…ただ側にいてくれる。

ただ、見守ってくれるみたいで、居心地悪くない。


















側にいて嫌味を言われるよりかはずっと。







あなた
…ううん、…お話しない?
初 音 ミ ク
お話…?
あなた
うん、…そうだな、こっちのセカイの話とか!
初 音 ミ ク
あなたが、いいなら…


そういえば私、ミクと…どこか距離置いてた所も
あったからなぁ。



この機会に、ミクとゆっくり話してみたい。

そう、思ったんだ。



















初 音 ミ ク
あなたは、音楽が好きなんだね
あなた
音楽…じゃなくて、聴くことだけだけどね
初 音 ミ ク
音楽は、好きじゃないの?
あなた
んー…わかんないや
初 音 ミ ク
…そう






私が嫌になって逃げたのは、音楽っていうより…

もっと別物だ。




かと言って、音楽が好きかどうかは分からない。

今でもクラシックは嫌いだし、ピアノも
バイオリンも見たくない。




あなた
そう考えると私って、何がしたいんだろ…
初 音 ミ ク
あなた…
あなた
…って、あ。そろそろ時間かも


ミクと話しすぎちゃったな。

あなた
じゃあね、ミク。また来るよ
初 音 ミ ク
…うん





再び、スマホの「 Untitled 」をタップした。






























初 音 ミ ク
あなたは、…何をそんなに怖がってるの?
























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     𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝


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