ピピピピ…ピピピピ…
目覚まし時計が部屋中に鳴り響く。
今日は高校の入学式の日。
と言っても中学とメンツも同じだし、がらりと日常が一変するわけではない。
私はいつも通り朝食を取り、支度をして、家を出た。
今日の空は雲ひとつなく、真っ青だ。
入学式日和ってやつ。
ガチャ
隣の家のドアが開いた。
そこから出てきたのはピンクのアホ毛野郎だ。
これもいつも通り。
家が隣で幼馴染なのもあって、毎日さとみと通っている。
高校は中学の隣にあるから通学路もほとんど変わらない。
さとみが言ってることも一理ある。
案の定私が殿堂入りトップモデルであることが噂され
中学では色んな人に話しかけられるのが日常だった。
でもトップモデルとしてまだまだ上を目指したいこの身としては、ファンがいてくれて、その上身近に感じられるというのは、とても嬉しいことなのだ。
こうやって話していると、あっという間に着いてしまう。楽しい、からかな。
そんなことを思っていると、校門の奥に見覚えのある二人が立っていた。
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あいつがいる…
なんで…?
しかもクラス一緒とかない…
どうしよう
こわい。
つばさは気づいてる…
この高校に、同じクラスに、
中学の頃私を密かに虐めていた
あいみがいることを。
私はあいみの嫌がらせで散々な目にあった。
だから…
さとみがいるなら尚更無理だよ…
バレたくない…
いじめにあってるとか、そういうの…
心配とかかけたくない…
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!