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第10話

【一小節目 消えた秘密のノート】-9
次の日、いつもより一時間も早く家を出た。
「学校に宿題を忘れたから早めに行って取りかかる」というそれらしい理由をつくって、怪訝そうな顔をしたお母さんを納得させることに成功。
とにかく誰よりも早く校舎へ。
こういうとき、希望をもって行動すれば思ったよりも事態は良い方向へ転がったりする。気持ちをポジティブに保っていれば、結果もおのずとついてくるのだ。
後ろ向きになりがちな心を無理やり前に押し出すように、私は早歩きで通学路を進んだ。

…………。

ノートは見つからなかった──……。

廊下をくまなく探し、職員室にある落とし物届けスペースものぞいてみたけど見当たらない。
泣きそうになるのをグッとこらえてトボトボと教室に向かう。

大丈夫、こうなることは予想できていた。
そして、わかっている。今、私にできることは祈ることだけだ。

ノートを拾った誰かへ。
中のポエムを読んで、痛々しいと思ってくれて結構です。
好きなだけ笑って、バカにしてくれて結構です。
ただ、お願いなので持ち主を探さないでください。
そして願わくは、ひとしきり楽しんだらそっと燃えるゴミで処分してください。
桂木香澄
桂木香澄
遥。お小遣いのこと、そんなに落ち込んでるの?
自分の席で神様に祈るポーズをとっていた私に、香澄が心配そうに話しかける。
櫻井遥
櫻井遥
いや、う、うん……まあね……
正直、お小遣いのことなんてすっかり忘れていた。
私のお悩みランキング一位はぶっちぎりでノートのこと。女子高生の悩みの種は日替わりだ。
そんなこと当然言えるはずもなく、気のない返事をするしかなかった。