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第6話

【一小節目 消えた秘密のノート】-5
〈サイレントワールド〉

 ここは音のない世界
 誰かの悲しい泣き声も 誰かの心ない言葉も
 私の耳に届くことはない

 ここは音のない世界
 誰かの無邪気な笑い声も 誰かを想う愛の歌も
 私の耳に届くことはない

 悲しみも喜びも
 伝わらなければないのと同じ

 助けを求める私の声も
 誰かの耳に届くことはない

これは去年の十二月に書いた作品。
家にいると両親が「勉強しなさい」だの「部屋を片づけなさい」だのうるさくて、外に出かけると街中どこもリア充とクリスマスソングばかりでうるさくて。静かな場所が恋しくなって図書館にこもっているときに書いたものだ。ちょっと痛いくらいの病み具合が気に入っている。
さらに別のページを開いてみる。

〈ラストフラワー〉

 去り行く背中に向かって
 僕らは手を振った
 サヨナラのためじゃない
「ここにいるよ」と伝えるため

 大空に花を掲げる桜の木のように
 僕らは手を振った

これは去年の春に、スクダンのアニメ第一期の最終回を観て号泣しながら書いた作品だ。
「スクール☆ダンサーズ」はとある男子高校のダンス部の日常を描いたテレビアニメで、最終回の見どころは卒業していく三年生の先輩たちが主人公たちと別れる感動的なシーン。
ノートに落ちた涙で、筆跡が滲んでいるところがある。
マズイ。今思い出してまた泣きそうになっている。ああ、如月先輩……。

……と、まあ、こんな風に、このノートは私が今まで書いてきた詩で埋め尽くされている。
詩。そう、英語で言うとポエム。
スマホが普及し、SNSで簡単に感情を吐き出せるこの時代。ノートに詩を手書きするなんていう古風な趣味をもった女子高生は、おそらく日本に十人くらいしかいないと思われる。
そのうちの一人が私、櫻井遥だ。