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第9話

【一小節目 消えた秘密のノート】-8
私のポエムを書きつづったあのノートがない。
櫻井遥
櫻井遥
うそ……
頭の中が新品のキャンバスのように真っ白になる。

どうして!?
なんでないの!?

ベッドの上に散らばった教科書やノートをもう一度確認してみても、やっぱりどこにも見当たらない。
事態の深刻さを理解して、鼓動がだんだん加速していく。

ノートは常にカバンの中にしまっている。教室の机の中に入れたりはしない。
カバンから出すのは詩を書くときだけ。
なくすはずなんてないのに、どうして──……。

あっ!!

走馬灯のように駆けめぐる記憶の中で、ひとつの出来事を思い出した。
今日の放課後、つい教室で香澄とアニメの話で盛り上がってしまい、塾に遅刻しそうになった私は駆け足で下駄箱へ向かっていた。そして、廊下の曲がり角で大道具を運んでいた演劇部の人とぶつかって転んでしまい、カバンの中身をぶちまけたのだ。
慌てていたのでちゃんと確認できなかったけど、あのときノートを拾い忘れていたんだ。
そうとしか考えられない。
なんでちゃんと確認しなかったんだろう。
なんで時間ギリギリまで話し込んじゃったんだろう。
なんでカバンをちゃんと閉めてなかったんだろう。
いや、今考えるべきはそこじゃない。

つまり、ノートは学校、しかも誰もが行き来する廊下に放置してしまっている。

サーッと血の気が引いていくのを感じた。

廊下にノートが落ちていれば当然、拾う。名前のないノートを拾えば当然、中を見る。
中を見るとそこに書かれているのは……。

うわああああああ!!

どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。

冷静さを失った私は部屋の中を行ったり来たりして、本棚やベッドの下、ゴミ箱の中を探した。
こんなところにあるはずもないのに。

とりあえず、落ち着こう。そう自分に言い聞かせて深呼吸をした。
不幸中の幸い。ノートには名前を書いていない。最悪誰かが手に取ったとしても私のものだとはわからないはずだ。
そして、まだ誰かが拾ったとも限らない。なぜなら、落としたのは今日の放課後。明日の朝一番で学校に行って探せばまだそこにあるかもしれないのだ。
そうと決まれば、明日早起きして学校に行こう。私は急いで宿題とお風呂をすませ、ベッドにもぐり込んだ。