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第11話

【一小節目 消えた秘密のノート】-10
それから数日、私は周囲から聞こえてくる「ノート」「拾った」「落ちていた」というワードにビクビクしながら過ごすことになる。
生徒
落ちてたよ。消しゴム
生徒
この前、拾ったんだよね~。千円!
生徒
ノートのやつ、面白いよな! あのノートに名前書いて人を殺すマンガ
こういった会話が聞こえてくるたびに心臓が飛び出そうになる。
皆がわざとやっているのかと思えるくらい私は疑心暗鬼になっていた。
というか、千円はちゃんと交番に届けようね。
そして、「デスノート」くらい瞬時にタイトル思い出して。
もし、ノートに名前を書いていたら社会的に死んでいた、という意味で私にとってあれはまさにデスノートだ。

だめだめ。いちいち周りの会話を気にしていたら精神がもたない。
この先、長い人生にはたくさんの困難が待ち受けている。こんなことでうろたえているようじゃ生きていけない。
私は両手を強く握りしめ、しっかりと背筋を伸ばして廊下を歩きはじめた。
一ノ瀬青葉
一ノ瀬青葉
あの、これ落としましたよ?
櫻井遥
櫻井遥
ひぃっ!!
突然背後から声をかけられ、ムチで叩かれたように体がのけぞる。
おそるおそる振り返ると、そこにはひとりの女子生徒が立っていた。
この子はたしか、二年二組の一ノ瀬青葉さん。
小さくて可愛らしい妹系のキャラで、男子からの人気が高いと聞く。
私とは別の世界線を生きる存在。当然、一度も話したことはないし、向こうは私のことなんて知らないだろう。
一ノ瀬青葉
一ノ瀬青葉
あ、驚かせちゃってごめんなさい。これ、ハンカチ……
一ノ瀬さんは、ウサギのイラストがあしらわれた見覚えのあるハンカチを差し出してきた。
私が愛用しているハンカチ。どうやらスカートのポケットから落としてしまったらしい。
櫻井遥
櫻井遥
あ、ありがとう……
一ノ瀬青葉
一ノ瀬青葉
どういたしましてっ
お礼を言ってハンカチを受け取ると、一ノ瀬さんは首をかしげてニコッとほほ笑んだ。
彼女の周囲だけ、宝石をちりばめたようにキラキラと輝いて見える。
「それじゃ」と言って、一ノ瀬さんは輝くオーラをまとったまま立ち去っていった。
途中、廊下ですれ違う男子が振り返っている。

その後ろ姿を見届けながら、私は胸の鼓動がおさまるのをしばらく待った。