《13××年》_____ .
そこは、もう馬の足音が消え去った荒地。
死体がごろごろと転がっているような場所であった。
そこに1人荒地に座り酒を飲む1人の男がいた。
👵「まぁ、どうしたんだい こんなところで……」
と、その男に話しかけるおばあさんがいた。
男はおばさんを見るなり
🐭「……酒はまずいし、変な婆さんが話しかけるわ……」
と、ため息を着くと飲んでいた酒を荒地に捨てた。
👵「……あんた、怪我してるじゃないか。痛くないのかい?」
そう聞いてくるお婆さんに
🐭「こんなもの、痛くも痒くもない。ただ……」
その男が担いでいたであろう荷物の山には 薬がたくさんあってそれを男はずっと見つめていた。
👵「……どこか悪い所でも?」
🐭「違う。待ってるんだよ、あいつが」
なんて言って下を向く。
誰かも知らないような人に、でもその人にとってはとても大事な人にあげるのだろうか。
そんな良薬がたくさんあった。
👵「そうかい、そうかい。今日はここで一夜を?」
🐭「……宿屋を探してる。」
👵「ここに宿屋はないさ。こんなに山奥なもんだからね。」
そう落ち着いた口調で話すお婆さん。
🐭「チッ、この婆さんは本当に使えないもんだ。」
と、地面を蹴る男。
👵「まぁまぁ、そんなに怒んなさんな笑」
👵「今日はもう暗いからうちにでもどうだい。」
🐭「……いいのか?」
👵「あぁ、冬だからねぇ、山は一層寒いんじゃ。うちがいちばん暖かいだろうに。ささ、入りな。」
心優しいおばあさんに連れられて家へとはいる男。
その後おいしく夜食を貰えば昼のうちに行われた戦で疲れていたのであろう。
すぐに眠ってしまったらしい。
朝になれば男は「ありがとう」ひとつも言われずに何も残さずにお婆さんの家を後にしていた。
すべては 愛する人 のために。
しかしそれは変わらぬ願いとなった。
” ゆんぎや ” ____
そう呟き ゆんぎの頬に手を添えた時 ゆっくりと目を閉じて帰らぬ人となってしまったから。
もう少し自分が早く帰っていればと後悔した。
そして、自分を憎み、憎んだ魂は何時しか自分を怪物に仕立てあげた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!