夜になり、出かける支度をしていると横で てひょんさん がなんだかんだと言ってくる。
🦁「2人して出かけちゃったら僕1人だよ〜😭」
なんて嘘泣きしてるし((
🐭「ほら、行くぞガキんちょ」
『ガキじゃないです!!』
と、私も負けじと大きな声で言うとゆんぎさんの背中を追って屋敷をあとにした。
今日初めて女の人に声をかけた通学路の階段を渡っていくと、朝見た女の人が階段に座っていた。
🐭「おい女。」
と、ゆんぎさんは女の人に話しかける。
👤【なんでしょうか】
そう私たちに聞く女の人。
🐭「単刀直入にいう。これ以上お前がこの世でさ迷うことになると生霊ではなく悪霊となり転生することさえも許されなくなる。」
🐭「お前の願いをひとつ聞いてやるが、、それで無事天国に行けよ?」
そうゆんぎさんがいうと、ゆっくりと顔を上げる女の人。
👤【はい………】
ゆっくりと頷いた女の人に
🐭「それじゃあ、話を聞く。」
そう言うと、ゆんぎさんの屋敷方面へと足を動かすゆんぎさん。
『え、えと……ゆんぎさん?』
🐭「あぁ?こんな寒い場所で話なんか聞いてられっかよ。家でゆっくりと聞くことにした。そこの女も早く来い」
と言って来た道を戻る ゆんぎさんと私と女の人。
屋敷へと帰ってくると、てひょんは見慣れた光景かのように
🦁「あら、今日はおひとり様の人だね!!」
なんて言ってる。
ゆんぎさんの屋敷は大きいから、ロビーのような場所がある。
そこに女の人を座らせると、自分も座り
🐭「ほら、お前の願いは?」
と、言ってコーヒーを1口飲む。
👤【ある人にもう一度会いたくて……】
🐭「……ふぅん。名前は?」
👤【……分からないんです。】
🐭「は?分からない?」
👤【はい……それが、私が階段から落ちて亡くなったものですから記憶がほとんどその時に飛んでしまって……】
🐭「……そうか。それじゃあその会いたい人って奴との接点も覚えてないか?」
👤【いえ……少しだけ覚えていて……】
👤【私の初恋の人でした。決してかっこいいとは言えないけれど心が綺麗で……そんな人だったんです。】
👤【たしか彼と撮った写真があったはず……】
そう言って自分のコートからスマホを取り出し写真を見せてきた。
👤【この方です……】
そこには、生前の彼女と2人でにっこりと笑っている男性の姿があった。
🐭「明日、明日までに探す。」
そう言って何かを決めたような顔をしたゆんぎさんは
🐭「てひょん、お前に仕事を与える。今日この女が泊まる場所を確保できるようにしておけ。」
🦁「はーい!!それじゃあお客さん!!こっちですよ〜」
と言って部屋を案内する てひょんさん。
そういえばこの屋敷はどのぐらい部屋があるのだろう。
多分こういう願いを抱えたまま亡くなってしまった人をこうして叶えてから逝けるようにしているんだろうけど、ちゃんと最後までこうして死人でも生前の人間と同じように対応してくれていることにびっくりした。
🐭「さぁて、久しぶりに大仕事になりそうだ。」
そう言って手の節をぱきぱきと鳴らす ゆんぎさん。
🐭「これから俺は外に出て人探しとやらをしてくる。お前はもう遅いから寝てろ。てひょんにもそう伝えて。」
そう言うとコートを着て外へ出かけてしまった ゆんぎさん。
もう時計の針は夜の11時だっていうのによく働くなぁ……。
私も明日は学校だから早く寝ることにした。
そうして次の日の朝がくると、ガチャっと開いた屋敷のドア。
どうやら今 ゆんぎさん が帰宅したようだ。
ずっと人探しをしていたみたいだ。
『ゆんぎさん……』
と、声をかけてみると
🐭「おぉ、ガキ。おはよう、あの女が言っていた男は見つかった。やっぱり最初から透視しておけば良かった……」
なんて訳の分からないことを言いながら自分の部屋に入っていくゆんぎさん。
どうやら、とても眠そうだった。
🦁「あれは当分起きないな〜」
なんて言いながらゆんぎさんの部屋の方を見ている てひょんさん も中々に眠そうだったけれど
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!