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第9話

歌声を無くした人魚

今までと同じように

家の中からぼーっと海を眺めていると

見覚えのある影が見えた。



聞きたいことがあった俺は

その影を追いかけて家を飛び出た。



そしてその影に追いついたのはあの岩場



夕暮れ時の海は燃えるような赤に包まれ

影は深い黒をおとしていた。



「柑奈!!」


名前を呼ぶと影はすぐに振り返った。


「…チルチル?どーしたの?」


「え,あー…その。音楽!聞いたよ」


「…あぁ!聞いてくれたんだ?」


「あれ…歌ってるのお前だろ?」


俺は息を切らしながら

聞きたかったことを口に出す。


柑奈は少し戸惑ったように視線をずらし

地平線の彼方を見つめた。


「……ん、そうだよ。」


「やっぱり…なんで黙って…っ」


「言えるわけないじゃん!」


俺の言葉を遮ったそれは

そこまで大きな声ではなかったけれど

悲痛な叫びで、彼女はまたむせながら

口をひらいた。


「もう…歌えないの。」