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第12話

君の前で

翌日

その日は日が登ってから沈むまでが

ちょっとだけ長く感じた。


…ちょっとだけな?



待ち合わせの8時はもう暗くて

懐中電灯で足元を照らして岩場を歩く。


あの場所に既に柑奈は立っていた

電気も付けずに



「わり、遅かった??」


「ううん?私が早く来ただけ」


「そっか、で…
呼び出して、なんかあった?」


「うん…実は、ちょっと前に
メンバーから新しい音源届いててさ」


「新しい…音源」


「そ、それでね。悩んでた。
でも…またみんなの前で歌いたい。
けど、ちゃんと歌えるか怖い…」


「そっか、じゃあメンバーの前…っ」


「だからっ!」


メンバーの前で歌えるようになってから

そう言おうとしたけれど

いつしかのように言葉を遮られる。


「私…チルチルの前だったら…
歌える…気がするから」


「…え」


「だからっ…その…聞いてもらっても…?」


「…俺でいいわけ?」


「チルチルがいいってゆーか…なんとゆーか」


「わかった。」


「…ありがと。」


そう言うと柑奈は大きく息を吸って

以前よりも透き通った歌声を

星空に響かせた。


その歌声は鈴のように清らかで

聞いていて心地よくて

うっとりと瞳を閉じた


気がつけば歌は終わっていて

瞼を開くと柑奈はこちらを向いて

小刻みに方を震わせていた。


「……歌えた!歌えたよ!」


「ん、ちゃんと歌えてたよ!
歌えなくなる前よりも良くなってる」


「本当…!? よかった…。
私ね、チルチルの前ならまた歌えるかもって
そんな気がしてた」


「俺の…前で。」


「そう、でもちゃんと歌えたから。
自信ついたかも!」


「じゃあ…セイレーンは」


「ちゃんと復活させる!
…みんなが待っててくれるから」


「うん!おめでとう,やったな!」


「チルチルのおかげだよ!」


そういって涙を流しながら微笑む

表情にドキッとしてしまう


「…ありがとな。ずっと応援するから。
その素敵な歌、みんなに届けろよ」


「……素敵って思ってるの…歌…だけ?」


「…え?」


「っ…好きなの、歌だけかってこと!」